木南清香「ミュージカルへの夢を諦めなかった音楽漬けの学生時代」

ミュージカル俳優 木南清香さん「私の“音育”」#2~学生時代編~

こうして、木南さんは合格者14人という狭き門を見事に突破し、京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻へと進学します。

受験の際、普段の授業への取り組みが試験対策になったとのことですが、具体的にどのように音楽と向き合っていたのでしょうか。

「当時、放課後は勉強をないがしろにしないよう、英語と数学の塾に通っていました。加えてピアノのレッスンも続けていたので、習い事でいっぱいいっぱい。学校の授業も音楽に関するものばかりでしたし、まさに音楽漬けの毎日でした。

でも、そんななかでも遊んだ思い出となるとカラオケで、やっぱり音楽だったんですよね(笑)。声楽は自分の喉が楽器なので、練習できる時間に限りがあります。それなのに、友人とカラオケへ行って歌っていました」

同級生たちも同じように音楽漬けの生活を送っている子ばかりだったため、ミュージカルの話こそできなかったものの、話題は音楽のことばかり。「音楽以外の話が出ないことに違和感すらなかった」と話す木南さん。

大学では「今度こそ自分と同じ夢を持つ人がいるかもしれない」と期待したそうですが、入学してみると、そこでもミュージカル志望の生徒は自分以外にいなかったといいます。

「大学でもミュージカルの舞台に立つことを目指している生徒は同級生にはおらず、授業ももちろんクラシック音楽に関するものが中心でした。

そのなかで私はオペラをメインに学んでいて、ミュージカルと似た部分があるような気がしていました。授業の一環として日本語でオペラを演じたときは、『“歌いながらストーリーを表現する”ことは、私のやりたいことだ!』と感じましたし。そのときに、先生からおほめの言葉とともに『オペラ歌手を目指してみては?』とすすめられたんです。

高校・大学と学んできたクラシックを活かせそうという思いと、先生に言われたことも後押しとなって、卒業後はオペラスタジオへ入ることに決めました」

母親の助言がなく、京都市立芸術大学の受験に挑戦していなければ、遠回りしていたかもしれないという木南さん。

進路に関する両親との話は、事後報告が多かったという彼女ですが、親がそっとサポートしてあげることが大切かもしれません。

次回は、オペラスタジオの門を叩いてから、実際にミュージカル俳優として舞台に立つようになるまでのお話を伺います。

取材・文=柳未央(シーアール)

木南清香さんインタビューは全3回。次(#3)は21年10月4日公開です(公開日時までリンク無効)。

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きなみ さやか

木南 清香

ミュージカル女優

1981年7月13日生まれ。大阪府出身。ミュージカル女優。京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業、関西二期会オペラスタジオ予科修了。劇団四季へ入団後は、ミュージカル「オペラ座の怪人」や「ライオンキング」へ出演。一時は表舞台を離れOLとして働く。その後、東宝ミュージカルアカデミー第5期卒業を経て、舞台へ復帰。ミュージカル「ミス・サイゴン」や「レ・ミゼラブル」など、多くの人気作品へ出演中。

1981年7月13日生まれ。大阪府出身。ミュージカル女優。京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業、関西二期会オペラスタジオ予科修了。劇団四季へ入団後は、ミュージカル「オペラ座の怪人」や「ライオンキング」へ出演。一時は表舞台を離れOLとして働く。その後、東宝ミュージカルアカデミー第5期卒業を経て、舞台へ復帰。ミュージカル「ミス・サイゴン」や「レ・ミゼラブル」など、多くの人気作品へ出演中。