
子どもの転落事故「2~4歳」は特に注意 すぐにできる「ベランダ・窓」7つの対策〔専門家が解説〕
2025.06.10
東京に限らず全国的に、初夏や初秋にあたるこの時期は、エアコンをつけるほどではないものの、風を通すために窓を開ける家庭が多くなります。
すると、子どもが開いている窓に接する機会も自然と増え、事故のリスクが高まるというわけです。
転落事故 ベランダが最多

出典:消費者庁〔住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故に係る事故等原因調査について(経過報告)〕
消費者庁の調査では、1993年から2023年までの30年間で、9歳以下の子どもが住宅から転落して亡くなった事故は170件にのぼりました。
そのうち、ベランダからの転落が103件と最も多く、次いで窓からが47件という結果が出ています。

出典:消費者庁〔住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故に係る事故等原因調査について(経過報告)〕
とくに事故が多いのは、1~4歳。歩き始めから行動が活発になるころにかけて多くなっています。
なぜ、こうした事故が繰り返されてしまうのでしょうか?
ベランダの柵、4歳児の7割が登れる
東京都が行った検証実験では、ベランダの柵の高さに相当する110cmの壁を子どもたちが登れるかどうかを調べました。すると……

・6歳児のほぼ全員が登れた
・4歳児の約7割が登れた
・2歳児でも、足がかりを使ってわずか15秒で乗り越えた子がいた
個人差もありますが、4歳児の平均身長はベランダの柵より少し低い100cm前後、6歳児はベランダの柵より僅かに高い114cm前後です。
つまり、子どもは自分の目線や頭より上の高さも乗り越えられるということ。足がかりになるようなものがなくても、ベランダ柵から転落してしまう可能性は高いのです。
室外機や椅子、プランターなどが足場になればなおさら、柵は簡単に越えられてしまいます。
STOP! 子供の転落事故(1分版_注意テロップあり)
子どもの転落事故について、安全と事故防止の専門家・大野美喜子さん(NPO法人Safe Kids Japan理事/産業技術総合研究所 人工知能研究センター主任研究員)はこう説明します。
「子どもは、『見たい』『登りたい』という思いを原動力に、驚くような行動を取ることがあります。しかも、昨日まではできなかったことが、今日にはできてしまう素晴らしい力をもっています。だからこそ、大人が思っている以上の運動能力を発揮するのでしょう。その一方、危険を認識する力はまだ十分に育っているとは言えません」(大野さん)
事故の報道では「親が目を離した隙に」と言われがちです。しかし、親が24時間365日ずっと子どもから目を離さないなんて現実的ではありません。
大野さんも、「トイレに行ったり電話がかかってきたりと、子どもを見ていない時間は誰にでもあります。むしろ、子どもから少し目を離しても、事故が起きない環境をつくることが大切なのです」と言います。
「目を離す瞬間があるのが当たり前」と考えたうえで、どうやって事故を防ぐかを考える。そんな発想が現実的ではないでしょうか。
だからこそ、日常の中に転落リスクを減らす習慣と対策を取り入れることが重要なのです。
では、どのように対策をすれば良いのでしょうか?