防災士がチェック カビ&サビ「ステンレス水筒」の手入れ大丈夫?

大活躍のステンレス水筒 正しいお手入れ法をしっかり覚えましょう

時政 美由紀

夏は冷たく、冬は温かくして飲み物を持ち歩けるステンレス水筒。子どもは幼稚園や保育園、学校や学童などに持って行ったり、大人は職場、車や電車移動の際に持参し、水分補給はもちろん、熱中症対策にも今や必要不可欠です。

最近では、テレワークにもステンレス水筒を常備する人が増えてきたそうです。いちいちキッチンに行かずとも、冷たいものをすぐ飲めるので便利ですよね。

便利な一方、使った後のお手入れに悩む方も多いようです。お手入れしていたつもりが、間違ったお手入れ法だったということも。正しくしないとカビやサビが出て水筒を傷めたり、飲み物を腐らせてしまいます。

防災士であり、防災備蓄収納マスタープランナーの資格も持つ、ステンレス水筒の取り扱いに詳しい堀中里香さんに、正しいステンレス水筒のお手入れの仕方を伺いました。

必ず使ったその日のうちに洗いましょう

「実はステンレス水筒のゴムパッキンにカビを生やしたことがあり、カビを取る方法をいろいろ調べたのですが、カビを取る決定的な方法はなく、買い替えたほうがいいということがわかったんです。このようにならないためにも、お手入れをきちんとすることをおすすめします」と堀中さん。

堀中さんは普段からステンレス水筒をよく使っていますが、いざという時の防災用品としても重宝するので、防災の面でもステンレス水筒は必需品というわけです。

「とても便利なステンレス水筒ですが、一度口をつけた飲み物は徐々に細菌が繁殖します。飲み残しを飲めば食中毒になる可能性も。中身を入れたままにしておけば水分でカビが発生し、飲み物のミネラル分や鉄分などがステンレスの表面にくっついて、サビの原因にもなります。必ずその日のうちに残った飲み物は捨てて、洗いましょう」

大事なのは「早く乾かす」こと

飲み残しは捨てて、毎日洗ってるという人がほとんどだと思いますが、大事なことは乾かすことだと堀中さんは言います。

「洗っても、乾かさないでそのまま飲み物を入れると細菌が残る可能性があります。また、自然乾燥ではなく、より早く乾かすほうが衛生的です」

洗濯物を放置して細菌が繁殖し、洗濯物が臭ったという経験はありませんか? まさに水筒も同じで、洗ったまま放置しておけば細菌が発生するのです。すぐに乾かすことがポイントです。

ボトルは、食器用のふきんを細く丸めて、中に入れて拭きます。どうしても拭くのが面倒という人は、水分を吸収してくれる水筒用の“珪藻土スティック”が販売されているので利用してもいいでしょう。

洗った後、水気をきって早めにふきんで拭きます。

すべて分解して洗うのが早道

水筒の部品の中でもいちばんカビが生えるのが、ゴムパッキン。ボトルだけでなく、このゴムパッキンやフタなど、部品も洗う必要があります。

カビが生えやすいゴムパッキンは必ず外して洗います。

「ステンレス水筒を衛生的に、かつ長持ちさせるためには、使ったその日に“すべて分解して”洗ってください。ついつい見逃してしまうのが、ジョイント部分のゴムパッキンです。忘れていて外したらカビがぎっしり、なんてことも。洗剤は中性洗剤でOK。スポンジで洗って、乾かす。これがお手入れの早道です」

すべて分解して中性洗剤で洗い、早めに乾かします。

もし、ゴムパッキンに目で見えるほどカビが生えてしまったら、そこにはカビの根っこがあり、繰り返しカビが出てくる可能性があるため、買い替えたほうがいいでしょう。

また、カビが生えていなくても、劣化してくると水漏れの原因にもなるため、1年ぐらいを目安に交換するのがおすすめです。ホームセンターなどで、200~300円くらいで販売されています。

ゴムパッキンの漂白は酸素系で ボトルごとは絶対NG!

「毎日使うなら、週に1回程度漂白するといいでしょう。ボトルに水を入れ、適量の過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を加えて30分くらい漂白すれば、茶渋などのこびりついた汚れも取れます。ただし、ボトルごとつけ置き洗いは絶対にしないこと。ボトルの表面の塗膜がはがれたり、サビや穴あきの原因になる可能性があります」

ボトルのつけ置き洗いは、メーカーでも禁止事項として取扱説明書に書かれています。ついやってしまっていたという方も多いのではないでしょうか。絶対NGです。

また、漂白は必ず酸素系を使うようにしましょう。塩素系はサビが出てしまう可能性があり、ステンレスを傷める原因に。つけ置き洗いはもちろんNGです。ゴムパッキンの漂白も、塩素系だと臭いが残りやすいのでおすすめできません。

酸素系漂白剤で、ボトル内のみ漂白しましょう。
ボトルごとのつけ置き洗いは絶対NG。

便利で普段からお世話になることの多いステンレス水筒の正しいお手入れ方法を知って、衛生的においしく飲み物をいただきたいですね。

堀中里香(ほりなか りか)
プロフィール
防災備蓄収納マスタープランナー、防災士、整理収納コンサルタント。「あなたのいえのかたづけこびと、そだてませんか」をモットーに、日常は整理収納、非常時は防災備蓄で、安全で安心な暮らしをサポートする。防災を考慮した整理収納サポートや、オンラインの整理収納×防災備蓄セミナーが好評。整理を習慣づける週一オンライン部活動『みんなでおかたづけクラブ』も行っている。NHKひるまえほっと出演。ブログ『かたづけこびとのみつけかた』 https://ameblo.jp/karikanariho/

ときまさ みゆき

時政 美由紀

構成・取材

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。