「厳しすぎる校則」を子どもたちが変える! 教育学者が伝授【こども基本法】お悩み解決策

教育学者・末冨芳先生の「こども基本法お悩み相談」~子を守り、親を救う答えとは?~#2「理不尽な校則どうすれば?」

教育学者・日本大学文理学部教育学科教授:末冨 芳

厳しすぎる校則に悩むわが子に対し、親から「がまんしよう」の声掛けはNGと、末冨芳先生は強く断言します。  写真:アフロ

2023年4月から「こども家庭庁」が発足し、「こども基本法」がスタート。このふたつは、私たちの暮らしにどんな変化をもたらすのか。

子どもの悩み相談を例に、その意味を、教育学者の末冨芳(すえとみかおり)先生が、子どもと親へわかりやすく伝えます。

第2回は「理不尽な校則に違和感がある」と言う中1・みかりんさんからの相談です。

末冨芳(すえとみ・かおり)PROFILE
教育学者・日本大学文理学部教育学科教授。専門は教育行政学、教育財政学。文部科学省・中央教育審議会臨時委員をつとめ、「こども家庭庁」と「こども基本法」設立にも尽力。2児の母。

〈今回のお悩み〉

【校則で髪型に厳しい学校に通っています。前髪を眉毛より短くしなければならないし、ロングヘアは結わないとダメでゴムも黒に決められています。

母に言うと「私の時代もそうだったし、今だけだからがまんしようよ」と言います。

校則の意味がわからないし、がまんするのも何か納得いかないんだけど、違和感がある私がおかしいのでしょうか?(中1 みかりん)】

◆子どものキミへ

校則が厳しい学校で、嫌な思いをしているのですね。キミの違和感はまったくおかしくありません。理不尽な校則にがまんなんてしなくて良いのです。

がまんを重ねてしまうと、学校に行くことが嫌になってしまいます。大人になっても、ハラスメント(嫌がらせ)をがまんすると、本当なら解決できたはずの問題を解決できなくなったりするのです。

文部科学省が校則について、新しいルールを作ったのは知っていますか?

『生徒指導提要』(※1)という学校向けのルールの中で、子どもの権利、「こども基本法」、特に子どもが意見を伝える権利を大切にして、校則の見直しを進めようと学校に呼びかけています。

特に大切なのが、~校則は、少数派の意見も大切にして、子ども個人の能力や自主性を伸ばすものとなるように、学校の先生たちもがんばりましょう~と書かれていることです。

市区全体で校則の見直しを生徒や保護者と進めている学校も増えてきています。私立学校でもです。

校則見直しで注目されている熊本市、尼崎市では、教育委員会が学校に対して、次のような「きまり」をつくっています。

・児童生徒(子ども)が、校則の見直し過程に参画できる仕組みを作る。

・校則は「必要であり、誰もが納得する理由があることに限って(必要かつ合理的な範囲内で)」、学校や地域の状況に応じて作ること。

・校則だけでなく、学校の日々のルールも見直し対象にすること。

・生まれ持った性質や性の多様性を尊重していない校則やルールは、見直すこと。

(地毛の色について学校に証明書を提出させる、男か女かで制服を分けるなど)

・子どもの健康を考えていない校則やルールは、見直すこと。
(水分を飲んではいけない、寒いのにコートやジャンパー、セーター、タイツや長ズボンを禁止する、給食を決められた時間で残さず食べるなど)

・子どもに、理由が説明できない合理できない校則やルールは、見直すこと。
(下着の色や靴下の色を1色だけに決める、「中学生らしい」などあいまいな表現のルール)

・校則はホームぺージなどで公開し、子ども、保護者や地域の人などもわかりやすく校則の内容を知ることができるようにすること。

民主主義の我が国で、国が国民の自由を法でしばることは、本当はなるべくしないほうがいいのです。これは校則やルールも同じこと。本当は、校則やルールはなるべく少ないほうが良いのです。

しかし大勢の子どもや先生が集まる学校では、お互いが安全に過ごして学ぶために、校則やルールもあったほうが良い場面もあります。

ただ、それは学校の先生が勝手に決めるのではなく、キミたち子どもの意見も聞いて、子どもの権利を実現しながら、「必要であり、誰もが納得する理由があることに限って(必要かつ合理的な範囲内で)」より良いルールをつくることが大切なのです。

校則を変えたい、そう思っているキミはぜひこの本を読んでみてください。『校則が変わる、生徒が変わる、学校が変わる みんなのルールメイキングプロジェクト』(監修:苫野一徳、編・著:古田雄一、認定NPO法人カタリバ/出版:学事出版)。校則を変えた学校の実例など、ヒントがいっぱい詰まっています。

では実際にどうしたら、理不尽な校則を改善できるのでしょうか。

まず学校として、生徒と校則の見直しを進めてくれているとよいですね。

そうでない場合、いちばん良いのは校長先生に意見を話したり、手紙やメールで伝えてみること。校則を決めることは“校長先生の責任”だからです。

そのときは同じ考えを持つ同級生や先輩なども一緒になって伝えるとより良いでしょう。

それでもうまくいかないときは、公立の小中学校であれば市長さんなど市区町村長に、公立高校であれば知事さんに、国立の場合には大学の学長や大学のハラスメント相談窓口に、ホームページなどから意見を伝えることもできます。私立学校の場合には、校長先生や理事長先生など、責任を持っている人に意見を伝えることが大切です。

また、電話やオンラインで、国や地域、専門家へ相談もできます。もし、周りの大人たちが味方でなくても、あなたの学校の校則がおかしいかを一緒に考えてくれる、専門家の大人たちに相談することが大切です。

相談先はこの記事の最後に記しておきます。きっと良いアドバイスがもらえると思います。

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