苦戦する【寝かしつけ】 「寝ない赤ちゃん」には「入眠前3つの温度」がカギ! 〔東大医学部卒3児のママ〕が対策を伝授

東大医学部卒医師・もりたま先生に聞く、「子どものねんねトラブル」 #1 ~赤ちゃんの寝かしつけ編~

医師・小児スリープコンサルタント:森田 麻里子

掛け布団は使わない 赤ちゃんにベストな室温は?

さらにもりたま先生は、「子どもに掛け布団は不要」と言います。

「2024年10月にこども家庭庁から発信されたガイドライン(※22)には、しっかりと『掛け布団を使用しないこと』と明記されています。これまで文化的背景から掛け布団については軽いものを使いましょう、とあったのですが、窒息の危険を回避するとの理由から『乳児はベビーベッドに寝かせて掛け布団は使わない』とはっきり発信されました」(もりたま先生)

※2 こども家庭庁「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間

防寒より室温調整が大切

夏場はパジャマだけでも良さそうですが、冬場の防寒はどうしたら?

「パジャマや寝具で調整する前に、“室温”の調整が大事です。夏は26度前後、湿度は60パーセントが目標。冬場は緩めに暖房をかけて、20度ぐらいをキープしましょう。

ただ、温湿度計は必須ではありません。同じ温度や湿度でも、住環境によって体感が異なるので、親御さんの感覚を大切にして。それでも真冬はいくら部屋を暖めても寒いと思いますので、布団の代わりにスリーパーや、着るおくるみ(寝返りをする子は手が出せるもの)を使っていただければいいかなと思います」
(もりたま先生)

お風呂の時間と入り方でも寝入りは大きく変わる

入眠には、お風呂の時間や入り方、そして“湯温”が関係していることもあります。

「特に肌の疾患を抱えていなくても、お風呂で身体があったまってしまうと、なんだか肌がかゆくなって落ち着かない、という状況になるケースも。布団でずっとモゾモゾしている子どもは、そういった理由があるのかもしれません。お風呂にはあまり長く浸かりすぎない、身体を温めすぎないこともポイント。湯温は38度か39度で、浸かる時間は数分でいいんです」(もりたま先生)

冬場であっても、「身体を芯まで温める必要性はあまりない」ともりたま先生。

「確かに身体をしっかり温めると深部体温が上がるので、そこから体温がすっと急降下することによって、眠気がより出てくるという効果はあります。ただ、その場合には、お風呂から就寝の間をしっかりあけないといけない。

大人では就寝はお風呂から上がって1時間半後がベスト、とよく言われますが、子どもでは一体どのくらいがいいのかはわかっていません。また、夕飯の後にお風呂に入るとすると就寝まで1時間半あかないですよね。お風呂にしっかりつかりたい場合は、暑すぎて寝つきが悪くなるのを防ぐため、お風呂、夕飯、就寝の順番がおすすめです」
(もりたま先生)

なかなか寝ない子へのアプローチには、これらの3つの温度の調整を試してみてもいいかもしれません。

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次回は、もう少し成長した“幼児の寝かしつけ”について。特にきょうだいがいる場合の寝かしつけは超大変! 小2、年少、2歳のお子さんがいる先生のご家庭のエピソードを伺いつつ、キッズの寝かしつけの工夫について伺います。

取材・文/遠藤るりこ
撮影/神谷美寛

森田麻里子先生による「ねんねトラブル」は全4回。
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(※公開日までリンク無効)

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もりた まりこ

森田 麻里子

医師・小児スリープコンサルタント

Child Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2017年に長男、2020年に次男を出産。長男の夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究を徹底的に調査。赤ちゃんの睡眠と健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立。最新著書『子育てで眠れないあなたに 夜泣きドクターと睡眠専門ドクターが教える細切れ睡眠対策』(共著:伊田瞳/KADOKAWA)のほか、『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』(光文社新書)が発売中。 「Child Health Laboratory」  https://child.healthlabs.jp/

Child Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2017年に長男、2020年に次男を出産。長男の夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究を徹底的に調査。赤ちゃんの睡眠と健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立。最新著書『子育てで眠れないあなたに 夜泣きドクターと睡眠専門ドクターが教える細切れ睡眠対策』(共著:伊田瞳/KADOKAWA)のほか、『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』(光文社新書)が発売中。 「Child Health Laboratory」  https://child.healthlabs.jp/