子どもが泣くからお風呂に入れない…義妹の悲痛な叫び
「ピンポーン」義弟夫婦のマンションに到着し、インターホンを押すと、目を真っ赤に腫らしたAちゃんが出てきました。
「私がシャワーを浴びようとすると、赤ちゃんが泣いちゃうんです……。泣かせるのはかわいそうだから抱っこして、でもおろしたらまた泣いちゃって。それを繰り返していたら、気がついたら2日間もお風呂に入れなくて……」泣きながら話すAちゃん。
リビングの壁際には、育児書や知育絵本がずらりと並び、おもちゃもきれいに片付けられていました。テレビはついておらず、部屋は静まり返っています。
部屋は完璧に整っているのに、Aちゃんの髪はボサボサで、義実家で会ったときとは別人のようにやつれ果てていました。
「ふぇん……」赤ちゃんがぐずり始めました。私は何も言わず赤ちゃんを抱き上げ、Aちゃんにこう言いました。「私が抱っこしてるから。何も気にしないで、今すぐお風呂に入っておいで」「……お義姉さんすみません」
お風呂に入って少し落ち着いた様子のAちゃんに、私はこう声を掛けました。
「私なんて、毎日のように子どもを泣かせてたよ。『泣かせっぱなしでごめんね~』って言いながらシャワーを浴びてたし、離乳食もレトルトに頼ってた。夜はミルクにして一緒にぐっすり寝て、昼間も親子で寝ちゃうことがあったなあ。夜泣きのときは、大好きなドラマを見ながら気を紛らわせたり、自分がお腹空いたときなんて、授乳しながらパンを食べたりしてたよ」
私は3人の子どもたちが小さかったころを思い出しながら、Aちゃんに話をしました。するとAちゃんはびっくりして「そんな……子育てでもいいんですか……」
「ふふ。いいかどうかはわからないけど、そうするしかなかっただけ。完璧にできなくたって、子どもたちが元気に生きていて、笑ってくれていればそれで満点って思ってたかな。……とは言ってもね、長男のときは私も今のAちゃんと同じくらい気が張っていたから、気持ちはすごくよくわかるよ。一人で本当によく頑張ったね」
話を聞いていた義母が、涙を拭いながら言いました。「○○ちゃん(私)は、3人も育てて本当にすごいわね……」
するとAちゃんは、ぽつりと打ち明けてくれました。
「お義姉さんが帰省中、いつも『私、これできないんです~』って笑っているのを見て、すごいな、素敵だなと思っていました。何より、子どもたちがいつも楽しそうで、本当に羨ましかったんです」
私はAちゃんのことを、完璧なお嫁さんであり、完璧なお母さんだと思っていました。けれどAちゃんもまた、私のことをそんなふうに見ていてくれたのだと知り、胸がいっぱいになりました。
「ただ適当なだけなんだけどね。でも、ママが元気で笑っていることが、結果的に子どもの一番に繫がるんじゃないかな」
義母が古いしきたりに反旗を翻した日
翌日も、義実家の空気はいつもどおりでした。男性陣は涼しい部屋で座ったまま動かず、台所に立つのは女性陣。義祖母はその場を仕切るように、「これ、運んでくれる?」と私に声をかけ、義父は座ったまま「おい、お茶」と言いました。
すると、いつもなら黙って従っていた義母が、それを遮りました。「○○ちゃんだって、いつも3人の育児を十分頑張ってるんだから。今日は座って休んでなさい」
突然の義母の言葉に、義父も義祖母も驚いたように顔を見合わせました。さらに義母は続けます。
「こう暑いと熱中症も心配だし、食事だって傷んだら大変。今日は思い切って外食にしちゃいましょう! よく考えたら、お盆だからって女ばかりが暑い台所に立つなんて変よねぇ。みんな、何が食べたい?」
子どもたちは大喜びで、声をそろえて叫びました。「焼肉ーーー!!」子どもたちの勢いと、今まで見たこともないような義母の毅然とした様子に、義父も義祖母も何も言い返せないようでした。
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