東京で育ち、結婚後は子ども3人&夫の5人家族で神奈川県に暮らしていたライター・片岡由衣さん。夫の仕事都合で、2019年春に人口約300人の小さな離島・竹富島(沖縄県八重山郡)へ引っ越してきました。
島での暮らしは、驚きや学びがいっぱいだそうです。
今回は、島の環境問題について教えてもらいました。SDGsやエシカル、エコという言葉を身近に聞くことが増えてきた昨今、島暮らしから学ぶ、環境教育はどのようなものなのでしょうか。
絶景の海に並ぶ漂着ゴミの多さ
「海に流れ着く漂着ゴミが増えている」
テレビやネットで近ごろよく見かけます。SDGsが注目を集め、2020年にはレジ袋が完全に有料化になるなど、ゴミ問題が身近に感じられてきました。
私自身、「劣化せずに長く使える」理由などから、プラスチックよりも木のおもちゃを選んでいましたが、それでもプラスチック製品を生活からなくすのはなかなか難しいことです。
島で暮らすようになって、海へ行くとその美しさに毎回ほれぼれすると同時に、嫌でも目に入るのが漂着ゴミ。その多さから、ゴミ問題を身近に感じるようになりました。
自宅から自転車で10分の場所に「コンドイ浜」があります。この海はほとんど波が立たず、遠くまで浅瀬が続きます。クラゲも滅多に入ってこず、クラゲネットも張られていません。白い砂浜に、透明度が高く湖のような穏やかな海が広がる景色は、これぞ南の島のビーチ! と初めて見たときは感激しました。
一見ゴミがないように見えますが、ビーチ沿いを歩くと、草のかげにペットボトルなどの漂着ゴミを見かけます。海のゴミの多くは、流れ着いてくるもので、島の人たちが拾い集め定期的に掃除をしています。
私たち親子も何度かビーチクリーンに参加し、ゴミの多くがペットボトルや発泡スチロールなどのプラスチックゴミなんだなと実体験を通して気づきました。
竹富島はまだいい方で、海流や湾の形によっても漂着ゴミの量は変わると聞きました。以前家族で西表島へ行ったとき、マングローブ林で見た大量の漂着ゴミの風景が衝撃的で今でも忘れられません。
西表島は、2021年7月に世界自然遺産に登録されたばかりの場所です。守るべき自然の中にある漂着ゴミの景色は、大きなインパクトがあり、「これでは人がいくら拾い集めても追いつかないんだろうな……」と無力感を抱きました。
それでも、実際に漂流ゴミを目の当たりにしたことで、「ゴミを拾うこと」「ゴミを出さないこと」、個人としてまずこの2つを気をつけようと意識し始めました。
ビーチクリーン活動に参加
2021年9月18日は、世界で一斉に地球をきれいにしよう! という「ワールドクリーンアップデー」だと知りました。
竹富島で「エシカルアイランド竹富島」という島をキレイにするプロジェクトを立ち上げ、日々ビーチクリーンや子どもたちへの教育活動をしている上勢頭巧(うえせど たくみ)さんに声をかけてもらい、海のゴミを拾うビーチクリーンに参加しました。
巧さんは私と同世代で竹富島生まれ。民宿の3代目として働きながら、生まれ育った土地や子どもたちのために活動をしています。
子どもたちと一緒にゴミ袋を受けとりながら説明を聞きます。
「この袋はペットボトル、これはビン、こっちはその他プラスチックを入れてください」
「液体は何が入っているかわからないので、出さずにそのまま袋に入れてね」
説明を受けるそばから、子どもたちが目につくペットボトルを拾い始めようとすると、
「ちょっと待ってね。まずは、ゴール地点までいこう」
ストップが入りました。
どうしてだろう?と思っていると、説明がありました。
「先にゴミを拾い集めて進んでいくと、重いゴミ袋を持って戻ってこないとならないんです。だから、まずは奥まで行ってからゴミを集めながら戻ろう」
なるほど! 小さなことですが、納得しました。
スタート地点へ向かって海沿いを進んでいると、小5長男が言います。
「いっぱいペットボトル落ちてる。見てると拾いたくなるね……」
目につくペットボトルの多さに驚いている様子です。
スタート地点へ着き、子どもたちとビニール袋を持ってゴミを拾い集めました。長男も待ってました! と言わんばかりに、黙々と拾い集めていました。ビーチサンダルや外国の言葉が書かれた缶、瓶など……どんどん袋がいっぱいになっていきました。