「ゴミを出したくないね」 竹富島のゴミ問題から芽生える子どもたちの環境意識

首都圏から竹富島へ移住! 島暮らしの子育てと学び【06】

片岡 由衣

海洋教育サミットへ向けて勉強中

小5長男が、「竹富町海洋教育サミット」へ向けての学校代表メンバーになりました。東京大学の海洋教育センターが主催する「全国海洋教育サミット」では、全国各地から選ばれた代表の児童生徒が、海洋教育で学んだことを発表します。

まずは町内での選考会へ向けて、中学生2人、小学生3人、計5名が学校代表となりました。今回のビーチクリーンも、発表予定の子どもたちを支援しようと企画してくれたものでした。

長男は海の近くに住んでいるものの、どちらかといえばインドア派。特に好きなのは、ゲーム「マインクラフト」や漫画を読むことで、日頃から環境や自然のことを深く考えている様子はそこまでないと思います。

長男が「旅」をテーマにしたマインクラフトのコンテストで「船」を作っていました。島暮らしの影響かもしれません。 
写真提供:片岡由衣

しかし、子どもの少ない学校だと、代表に選ばれたり、司会役を任されたり、それぞれの子に責任ある役柄をになう機会が多くあります。例えば、長男は5年生になったら自動的に児童会役員になり、さまざまなイベント企画などしているようです。

今回のビーチクリーンで黙々とゴミを集める姿や、発表に向けて毎日放課後に学校へ通う姿など、親の声かけではなかなかやらないだろうなあ、と思う姿を多く見ています。子どもの見る世界や子どもを囲む世界に濃く関われるのは、私にとっても今しかできない経験です。

また、島では企画をしている方が普段は民宿を運営していたり、友達のお父さんだったりします。子どもたちにとって身近な人たちからの学びは、より深く記憶や感覚へ届くように思います。

生ゴミが捨てられない!? ゴミの分別に驚き!

ゴミといえば、引っ越してくる前、「離島でゴミってどうしてるんだろう」と気になっていました。
島で暮らした経験を持つ知人に聞いたところ、驚きの言葉が。

「生ゴミはゴミとして出せないんです」

島には小さなゴミ焼却施設しかなく、水分の多い生ゴミは焼却時の負担が大きいのだそうです。では生ゴミをどうしているのかというと、島内にある大型の生ごみ堆肥化容器まで入れに行くか、各家庭にあるコンポスター(生ゴミを堆肥に変える装置)で、それぞれ処理をしています。

私たちも家に生ゴミを置いておくわけにはいかないので、こまめに運んでいます。自宅にコンポスターを置いて、家庭菜園にも挑戦してみようかなと考え中です。そもそも、燃えるゴミやプラスチックゴミも回収が週に1回ずつなのであっという間にいっぱいに。さらにリサイクルするものは石垣島まで船で輸送しています。

このような不便さがあるため、「家のゴミを減らそう」と実感を伴って考えるようになりました。大変だなあ、なんで1週間に1度しかゴミを出せないのか……と思うこともありますが、出せないから減らそうと思える。不便さからの学びは、今の時代にこそ必要な考え方なのかなと感じます。

また、東京で育った私にとって、生まれた土地に誇りを持って、大切にしようと行動する人たちとの出会いは新鮮でした。台風の後は道の倒木や、海に落ちていた海藻があっという間に清掃され、美しい姿に戻ります。

島で暮らすようになってから、
「なるべくプラスチックを買いたくないね」
「出かけるときは水筒を持っていこう」
「お菓子が一個一個袋に入ってるのもゴミが増えるよね……」
といった声が子どもたちからも出るようになりました。

私はモノグサな性格です。マイボトルやマイバック、ゴミの出ない暮らしを心がけたいと問題意識はありながら、なかなか実践できずにいました。しかし島で暮らし、周りの影響で、親子ともに見える景色が変わっていきました。

体験や学校での学びを踏まえ、子どもたちとの対話も増えています。これからも、「◯◯しなさい」と無理にやらせるのではなく、自然と考えたくなる、話したくなる、そんな時間や体験を共有していけたらと思います。

ビーチクリーンでは小さな子どもも参加していました。小さな子どもが拾ったゴミを長男が受け取りました。
写真提供:片岡由衣

島暮らしから学んだこと

・海洋ゴミの多くは漂着してきたプラスチックゴミ

・離島のゴミ処理の大変さから、自然と家庭ゴミを減らしたいと思うように

・子どもが少ないからこその、責任感が芽生える

23 件
かたおか ゆい

片岡 由衣

ライター

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter