さあ、お片づけを始めよう! 「子育て家庭の片づけ」成功までの「3ステップ」を専門家が伝授

子育て家庭のスッキリ簡単お片づけ 基本の「き」 #2 どこから片づける?

子育て中のママは、家が片づかないとイライラが増えます。 写真:アフロ
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ズボラママにとって、子育てしながら片づけをするのはハードルが高いものです。「こういう状態にしたい」という理想があっても、それとは程遠い家の中にがっかりしてしまいます。

「子どもが散らかす」→「片づけ」の繰り返しにうんざりし、やる気を失って片づけから遠ざかる……。そんな負のループに入ってしまうこともあるでしょう。

途方に暮れるママは、どこから片づけを始めたらよいのでしょうか? 動線片づけコンサルタント・石牟礼ともよさんに、その具体的な方法をうかがいます(全3回の2回目。#1を読む)。

◆石牟礼 ともよ(いしむれ ともよ)
動線片づけコンサルタント。整理収納アドバイザー1級、ライフオーガナイザー1級、福祉住環境コーディネーター3級。片づけを仕事にしてキャリア11年。お片づけ訪問・相談実績は、のべ750軒以上。ヤングケアラーだった幼少期の経験、重度の埃アレルギーを持つ旦那さん、極度の遠視を持つ娘さんとの暮らしを通して、効率の良い家事テクニックを培う。生活スタイルに合わせて物を配置する「動線片づけ」は、家事や育児に忙しいお母さんたちに好評。また、よりシンプルに暮らすことをモットーにした家は、物事がはかどりやすく「開運ハウス」と呼ばれている。

【子育て家庭のスッキリ簡単お片づけ 基本の「き」】の連載は、全3回。
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片づけに大切なのは「家族とのコミュニケーション」

片づけを始める前に、まずは「合格ライン」を決めておくことが大切だと石牟礼さんは話します。

「子育て中の家事は『完璧』でなくていいのです。完璧を目指そうとするほど追い詰められ、できていないことに目が向いて自己肯定感が下がります。

家事は、一人ですべてをこなそうとせず、家族と協力するのがそれぞれのためになります。各自ができることから始めていきましょう」(石牟礼さん)

つい家事を完璧にしたくなってしまうママも多いものですが、ママになったことで1日の仕事量はかなり増えます。自分の思いどおりにならないことも多く、完璧にしようとすればするほどイライラも溜まります。

また、家はママだけが片づけの担当ではありません。ママが一人で抱え込んで頑張って「完璧」を目指すものでもありません。頑張れば頑張るほどに余裕がなくなり、イライラが募って家の中に不穏な空気が流れます。

そうなると家の中は家族にとっても居心地が悪くなっていきます。

「子どもが小さい」「パパの帰宅が遅い」ことは片づけをしなくていい理由にはなりません。ママだって育児が始まって「お母さん」という役割が増えています。

家の片づけを始めるのに必要なのは「家族とのコミュニケーション」です。子どもが小さくても、家の中での過ごし方にルールは作れます。言葉でのコミュニケーションは困難でも、家の中でどう過ごしたいのかくみ取ることがコミュニケーションにつながります。

「家は家族共有のスペースです。それぞれにとって快適な環境にするためには、価値観をすり合わせることが大切になります。

家族だからといって、まったく同じ価値観で生きているとも限りません。特に夫婦は、それまで違う環境で生きてきていますから、価値観は異なって当然です。そのため、コミュニケーションによってすり合わせていく必要があります。

普段から気になっていることについては、積極的に話し合う時間を持ちましょう。

また、子どもの成長とともに家族も成長していきますので、その過程で価値観も変化します。コミュニケーションを重ねることが、家族にとって居心地のいい家を作っていくのです」(石牟礼さん)

また、ママの思う居心地の良さは、パパや子どもにとっても同じとは限りません。

気がついたらママの「こうあるべき」を押し付け、片づけても家族から「感謝してもらえない」状態となって、疲弊してしまうこともあるでしょう。

片づけは「完璧でなくていい」「家族みんなで片づける」「価値観はそれぞれ異なる」ということを意識してコミュニケーションをとることから始めましょう。

共有スペースのルールを決める

実際の片づけは、どの部屋から始めるとよいでしょうか。

「始めるのは自分のスペースからがスムーズですが、やはり気になるのはリビングやキッチンなどの『家族共有のスペース』ですよね。しかしリビングなどはいきなり作業を開始するのではなく、まずはその場所の役割とルールを決めていくことが大事なんです」(石牟礼さん)

最初にその場所をどんな空間にしたいのかについて、家族で話し合います。例えばリビングだったら「子どもを安心して遊ばせる場所にしたい」「ゆっくりくつろぎたい」「人がいつでも集まれる場所にしたい」など、家族それぞれがその場所でどう過ごしたいかを考え、すり合わせていきます。

過ごし方が決まったら、ルールを考えます。「ゆっくりくつろぎたい」のなら「どのようにしたら家族がゆっくりくつろげるのか?」を話し合います。手足をゆったり伸ばせる、転がれる空間にしたいなど、過ごし方を具体化します。

「広々した状態が理想であれば、物が少ない状態であることが望まれます。その場合『共有スペースには自分の物を置いたままにしない』といったルールを導き出すことができます。家族で応援しているスポーツチームがあるのなら、グッズが飾られているのはOKというのもルールにすればいいですよね」(石牟礼さん)

では、小さな子どもには、どのようにルールを理解してもらったらよいでしょうか?

「まだ自分のスペースがない小さな子どもの遊び場は、主にリビングになるでしょう。『使う場所がしまう場所である』という動線片づけの観点では、おもちゃの置き場所もリビングです。家の中の一番広いスペースにおもちゃを広げられたら、片づけも大変です。

そんなときには、遊びの種類別におもちゃをまとめます。工作ならハサミやのり、テープ、折り紙、画用紙、クレヨン、色鉛筆、シールや飾り付けのモールなど、工作で使うもの一式を一つのカゴなどに入れておきます」(石牟礼さん)

細かく分けすぎてルールが複雑になると、子ども一人では片付けが難しく、ママの手を借りることになってしまうので要注意。

「使ったあとは、カゴにざっくり入れたら片づけ終了という具合にし、子どもが一人でできるレベルに合わせて仕組みを作ります。

共有スペースでは、どうやったら戻す時間が短くできるかを考えて、置く量と分け方、収納の仕方を考えるといいでしょう」(石牟礼さん)

家族それぞれのレベルに合わせたルールがあれば、子どもはおもちゃを自分で管理することを覚え、片づける習慣もついてきます。

また、石牟礼さんは「共有スペースにママ個人のものが紛れ込んでいる場合もよく見かける」といいます。子どもやパパに守らせるだけでなく、ママもルールを守ることが大切です。家族全員で協力することで、片づいた空間は維持されていきます。

さらに共有スペースのルールを守り続けてもらうためには「それぞれのプライベートな空間を作っておくこともポイント」です。

「プライベートな空間に関してはお互い干渉しないことが重要です。物が増えても、片づいていなくても『自由』にできる場所があることは、家族みんなにとって大切です。

『一時的な避難場所』や『ざっくり収納できる個人スペース』があることで、ママも余裕を持って共有スペースの片づけに臨むことができるでしょう」(石牟礼さん)

片づけがすぐにできるのを優先した、自由に使える個人スペース。 写真提供:石牟礼ともよ
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