
夏のクマは特に注意!! キャンプで子どもを守る「遊び場選び」と「必携クマ対策グッズ」とは[専門家が解説]
#1 夏の子連れレジャーの“クマ”対策「準備編」岩手大学農学部 山内貴義准教授インタビュー (3/3) 1ページ目に戻る
2026.08.02
岩手大学農学部准教授:山内 貴義
命を守る「3つの対策グッズ」と正しい使い方
クマ鈴やホイッスルも、子どもの声と同じように、「人がいる」とクマに伝える役割を果たします。
「クマ鈴は、クマを追い払うためではなく、『人がいますよ』と知らせ、先に逃げてもらうための道具です。私も山ではクマ鈴を携行し、さらにホイッスルも吹き続けます。
沢沿いや風下にいる場合、また雨の日は、鈴の音がかき消されることがあるため、広範囲に音が届くホイッスルが役立ちます」(山内准教授)
クマ鈴は、子どもの腰回りにも装着し、動くたびに自然と鳴るようにしましょう。また、選ぶ際は、遠くまで音が届く「遠達性(えんたつせい)」もポイントです。一般的に、真鍮製は高音域で澄んだ音色になりやすく、音も遠くまで届きやすい傾向があります。
ただし、人に慣れた個体の中には、鈴やホイッスルの音を聞いても逃げないケースもあるため、過信は禁物です。
さらに“最後の備え”として携行したいのが、クマ撃退スプレー。万が一クマに襲われそうになった際に身を守るための、ほぼ唯一の防御手段です。
「ただし、持っているだけでは意味がありません。すぐに取り出せる位置に携行し、就寝中もすぐ使えるよう常にそばに置いてください。事前に安全装置の外し方や噴射方法を確認しておくことが必須です」(山内准教授)
走って逃げると反射的に追いかけてくる
最後に、夏のレジャーに出かける前に、親子で確認しておくべきことがあります。
「まず大切なのは、子ども一人で行動しないことです。『ちょっと先を見てくる』『トイレに行ってくる』と親から離れてしまうと、人の気配が伝わりにくくなり、不意の遭遇につながる危険があります。必ず大人といっしょに複数人で行動してください」(山内准教授)
また、もしクマを見つけても、絶対に大声を上げたり、走って逃げてはいけません。
「クマが攻撃するのは、出会い頭に驚いたり、自分や子グマを守ろうとするときがほとんどです。また、動くものを反射的に追いかける習性もあります。
普段から『クマに出会ったら走らない』『大人のそばを離れない』などと親子で話し合っておくことが大切です。いざというときは、とっさの判断ではなく、普段から話していたことが行動につながります」(山内准教授)
クマは本来、人を避けて暮らす野生動物です。だからこそ、正しい知識と備えがあれば、多くのリスクは減らせます。しかし、どれだけ準備をしていても、生息エリアにおいてはクマと遭遇してしまう可能性はゼロではありません。
もし目の前にクマが現れたら、親はどう行動すべきなのか。あせって取りがちな行動の多くが命取りになる可能性があります。
次回は、クマに遭遇したときに親子の命を守るために本当に取るべき行動を解説します。
取材・文/稲葉美映子
※1回目/全3回
2回目「サバイバル編」を読む※2026年8月3日より公開
3回目「環境教育編」を読む※2026年8月4日より公開
【関連書籍】




稲葉 美映子
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。



































山内 貴義
岩手大学農学部 地域環境科学科准教授(野生動物管理学研究室)。農学博士。 クマをはじめ大型野生哺乳類の生態や、人と野生動物が共存するための科学的根拠に基づく保護・管理手法を研究。 明治大学農学部卒業後、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。岩手県環境保健研究センター主任研究員を経て現職。自治体や教育機関などで、クマとの共存や野生動物対策に関する講演・普及啓発活動にも積極的に取り組む。
岩手大学農学部 地域環境科学科准教授(野生動物管理学研究室)。農学博士。 クマをはじめ大型野生哺乳類の生態や、人と野生動物が共存するための科学的根拠に基づく保護・管理手法を研究。 明治大学農学部卒業後、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。岩手県環境保健研究センター主任研究員を経て現職。自治体や教育機関などで、クマとの共存や野生動物対策に関する講演・普及啓発活動にも積極的に取り組む。