「使い道」ではなく「限界」を教える
──泉先生が推奨する、おこづかいを与える年齢や金額などはありますか?
泉:経済事情は各家庭によるので、子どもに渡せるおこづかいの額も、渡すタイミングも人それぞれだと思います。
お金の使い方は、人によってまったく違います。私には3人の息子がいますが、一番上は、とにかくほしいものはすぐ買いたいタイプ。真ん中は「後でなにかイイことがあるかも」と考えて貯めるタイプ、下の子はその日の気分によって決めるタイプでした。
これはしつけの問題ではなくて、子どもが生来持っている性格です。だから最初は、小さな額を現金で渡して、子どもがどんなふうにお金を使って、なにを買ったら「満足感」を覚えるのかをよく観察してみてください。
──「満足感」とはなんでしょうか?
泉:お金を使って手に入れたものやことに対して、本人が心から喜んでいるかどうかです。
買ったときはうれしいけれど、すぐに他のものに目移りして「アレがほしい」と言い出すのなら、満足度はあまり高くありません。そうしたら「衝動買いは、ムダづかいになるんだよ」と失敗の原因を教えてあげましょう。
『動く図鑑MOVE お金と経済』では、ゴミの観点からムダづかいについて触れています。お金を使ってゴミを出していると知ったら、「もったいない!」と感じてもらえると思います。
泉:貯金が好きな子は、貯金箱からお金を出しては数え、また貯金箱に戻すという遊びをよくしています。がんばった分、お金が貯まっていくのが目に見えるのでうれしいんでしょうね。そして「貯めて使う」ことを覚えます。
また、おこづかいで家族にプレゼントを買ってあげて、喜んでもらうのがうれしいという子もいます。自分のためではなく、人のためにお金を使う行為は、寄付の考えにもつながるよい使い方だと思います。
このように、「お金を使うと、なにが手に入るんだろう? なにができるんだろう」と学ぶと同時に、「自分はどのくらいお金を使えば、満足するのか?」という「欲望の限界」を知ることが大切なんですね。当たり前ですが、お金は無限ではありません。ほしいものを手に入れるために自分はなにができるのかを考えることが、お金で「自立する」ということです。
そこで活用してもらいたいのが、お金の流れを可視化する「おこづかい帳」です。でも、単純にもらったお金と払ったお金を記入するだけでは「満足度」と「欲望の限界」を実感するのは難しい。だから「子どもの経済教育研究室」でつくり、セミナーでも活用している「おこづかい計画帳」には、ちょっとした工夫をしてあります。それを説明していきましょう。
「意思決定のツリー」で複数の入手方法を考えよう!
──これは「おこづかい帳」ではなく「おこづかい計画帳」という名前なんですね。
泉:そうなんです。なにかほしいものがあったら、それをどうやって手に入れるのか「計画」を立てるところから始めるので、「おこづかい計画帳」にしました。
「計画」を立てるために最初にやることが、「意思決定のツリー」を書くことです。「意思決定のツリー」は、ものやサービスを買うときに、考えられる条件を書きこんで、どの方法がいいのかを決めるのに役立つ方法で、アメリカの教材から見つけたものを許諾を得て使用しています。





















































































