元教員で現在オンライン相談サービス「ウチのこは」で相談員を務める高村ミチカさんが、家庭学習のお悩みに答えます。子どもの「やりたい」を引き出す家庭学習のヒントとは?
前回の第1回「親は必読!小学生の家庭学習は「学びを日常生活につなげる」のがカギ」では、家庭学習には大きく分けて2つの役割があるという話をしました。その役割とは、「知識・技能を定着させること」と「学びを日常生活につなげること」でした。
今回の第2回では、それぞれの役割別の家庭学習方法について解説します。すぐにご家庭で実践できるよう、具体例とポイントを併せてお伝えしていきます。(全4回の2回目/#1、#3、#4を読む)
知識・技能を定着させる「コツコツ型」
まずは「知識・技能を定着させるための学習」を「コツコツ型」と呼ぶことにしましょう。
漢字や計算の練習などがこれに当たり、繰り返し問題に取り組むことで、力をつけていくことができます。小学校で出される多くの宿題は、この「コツコツ型」に入ると言えます。
それでは、「コツコツ型」の学習の具体例とポイントを見ていきましょう。
漢字練習は「苦手」を重点的に
はじめに、漢字練習を例に挙げます。
多くの人が勘違いしているのが、「漢字を何回も書くことで覚える」というスタイルです。じつはこれ、あまり効率がよくありません。ただ書き写すという作業になってしまうと、頭の中に残りにくいからです。
そこでやってほしいのが、「どの漢字が書けて、どの漢字が書けないのか」を知ることです。一度、学校の小テストや50問テストの結果を見返して、チェックしてみてください。苦手な漢字がどれか、どこを忘れやすいのかが見えてくるでしょう。
苦手な漢字がわかったら、その漢字を中心に練習をしましょう。書ける漢字を5回も10回も書く必要なんてないのです。
間違いやすいところは、赤で印をつけると、印象に残りやすくなるので、オススメです。つまり、「ただ書き写す」のではなく「考えながら書く」ことが大事なのです。
次に、自信をもって書ける漢字は、熟語や文で書く練習をしましょう。
なぜ、この練習が必要かというと、漢字として書けるようになっても、文中で使えないと意味がないからです。こうすると、熟語の意味と一緒に漢字が頭に入るので、「国語力をつける」という意味でも効果的です。
熟語が思いつかない時には、「漢字辞典」を活用しましょう。
漢字を調べると、必ず熟語や例文がたくさん載っています。子どもに「その漢字を使った熟語を調べて、熟語で書き取りをしよう」と促すのです。その方が記憶に残りやすいことを伝えれば、子どもも納得するでしょう。
漢字辞典は、国語力をつけるためにも、ぜひ家庭に一冊置いておくことをお勧めします。
計算練習は時間を意識して
次に計算練習。計算練習は速く正確に解くために行います。そのためには「慣れること」が必要です。
同じ問題でもいいので、繰り返し練習をしてみましょう。だんだん慣れてきて、間違いが少なくなり、解くスピードも速くなります。
反復練習をするときにやってほしいのが、時間を意識することです。
「5分で何問解けるか」「1枚のプリントを終えるのに何分かかるか」と数字で具体的に示すといいでしょう。
記録が上がると、成長が目に見える形になるので、子どものモチベーションが上がります。
丸付けは必ず子ども自身にさせてください。
間違えたところは、消しゴムで消さず、どこで間違えたかがわかるようにすることがポイント。これをすることで、何が苦手なのかが見えてきます。
たとえば、「繰り下がりの計算がミスしやすい」とか、「小数点の位置を間違えてしまう」など、苦手ポイントが見えてきたら、プリントに「次は〜に気をつける」と、気づいたことを書き込むようにするといいでしょう。
しっかりと言葉にすることで、意識が高まり、ミスを防ぐことにつながります。
ちなみに、練習のために、わざわざドリルを買う必要はありません。教科書の各単元のまとめや巻末ページに問題が載っていますし、インターネットで無料のプリントをダウンロードすることもできます。
私が教員時代によくお世話になったサイトは、「ちびむすドリル」。
四則計算のプリントが充実しており、日付と記録の時間を書く欄があるので、時間を意識しやすいのが特徴。「計算しりとり」など楽しみながら学べるプリントもあります。
暗記は隙間時間を活用
ことわざや四字熟語、都道府県の名前、歴史の年号など暗記が必要なものは、短い時間で繰り返すと、効率よく覚えることができます。
テレビのCMの間、車で移動中、お風呂の中、寝る前などの隙間時間を活用しましょう。とくに「寝る前に覚えたことは頭に残りやすい」と言われています。
ただ見るだけではなく、音読して覚えるのが効果的です。視覚と聴覚両方から情報を得ることで、記憶に残りやすくなるからです。ただ声に出すのがつまらないときには、親子でクイズを出し合うなど工夫してみましょう。