「教育移住」で軽井沢に1年半 子どもと親の大きな変化とは?

インタビュー「教育移住」#2「軽井沢風越学園」後編

ライター:片岡 由衣

「これから何が起こるかわからない」日々を楽しむ

坂口さんの長女は現在、5歳(2022年2月)。風越学園は中学校までしかありません。

「娘が将来どういう方向に進むかはまだわかりません。でもいろいろな情報を集めすぎると、未来ががんじがらめになると思うんです。15歳までに、好きなことや方向性が見つかればいいのかなと今は思っています。

子どもの中に芽生えたものや、子どもの声を大切にしてあげたい。先回りや手出しをしすぎず、いい意味で好きにさせたい。もちろん心配もありますけどね」と穏やかな表情で話す坂口さん。

子どもの入園のための軽井沢移住でしたが、大人のほうが価値観や生き方に刺激を受け、大きな変化があったと笑います。

「僕も妻も、都会の価値観から距離を置いたことで、自分が本当は何をやりたいのかを考えるようになりました。

将来のことを考えすぎていたら移住はできなかったと思うし、直感にしたがって動いてみたら予想していなかった自分と出会えました。

今は、軽井沢を拠点に、教育やビジネス、生活にまつわる書籍を出す地方出版社をつくれないだろうかと構想しています。これもここに来たからわいてきた発想だと思います。

軽井沢に限らず、今、全国各地に新しい教育スタイルの学校が増えて、選択肢が広がっています。もし転居を迷っている人や、情報を集めすぎて動けなくなっている人がいたとしたら、まず現地に行くことをお勧めします。

そこで何を感じるか。情報は脇に置いて、自分の感覚から検討や話し合いを始めるのがいいのではないかなと、思います」(坂口さん)

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坂口さんの前向きな考え方や、ゆるやかに変化していく価値観を楽しむスタンスは、日々の暮らしの中でも取り入れることができそうです。

やりたいと思ったらまずは動いてみること、そして「教育移住」という手段に限らずとも、毎日を楽しむこと、そんな坂口さんのお話に背中を押してもらいました。


※「軽井沢風越学園」のある軽井沢へ教育移住した坂口さんへのインタビューは全2回。
#1 東京の家族が「軽井沢風越学園」へ“教育移住”を決断したこれだけのワケ

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かたおか ゆい

片岡 由衣

ライター

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter