「学びのプロセスを評価する」山田先生が実践する子どもの成長を認める多様な評価とは

学校の「当たり前」を考える 山田剛輔先生の実践#4 学びのプロセスを認める評価とは?

子どものよさ、頑張りを認める

日常の子どもの学びを保護者に伝える方法として、山田先生はアプリ(Google Classroom)を活用しています。

保護者へ送ったGoogle Classroomの内容(2023年度1年生の担任時)。  写真提供:山田剛輔氏
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日々の出来事や授業風景を写真とコメントで掲載し、時には子どもたちの姿から感じた熱い思いなどを書き綴ることもあります。保護者にも好評で、「子どもの学校での様子がわかってうれしい」などという感想が寄せられています。

また、2023年度からは年度末に「三者面談」を取り入れ、子どもや保護者と対話する時間を設けています。

「面談では僕からの評価も伝えますが、子どもが行った自己評価についても話してもらいます。誰かから与えられる評価ではなく、自分自身で振り返って考えることも大切にしています。

三者面談は、『こういうところを頑張ったね』『あのときは素晴らしかったね』と保護者と一緒に子どもを認め、励ますことができる貴重な機会です。

こうした時間を持つことで、評価が過去の振り返りだけでなく、次の学習へのモチベーションにもつながります」(山田先生)

「感動した」「ありがとう」も大切な評価

ここまで見てきたように、山田先生は自身が行う評価方法についても工夫していますが、プロジェクトに取り組んでいると、教師以外からも子どもたちは「評価」を得るチャンスに恵まれるそう。

「地域の人や団体と活動することも多いため、必然的に学校外に出ることが多く、いろいろな人に出会います。なかには『素敵な取り組みだね』『頑張って』などとコメントしてくださる人もいます」(山田先生)

取材の日も地域センターの前で活動していると、とおりかかった地域の方が子どもたちに話しかけ、やりとりが生まれる様子を目にしました。

「香川商店街プロジェクト」の活動で、エコプランターに花を植えました。  写真:川崎ちづる

そうした言葉や反応が、子どもたちにとって最も意味のある『評価』だと思うのです。一生懸命取り組んでいる内容が、会ったばかりの人にも認めてもらえる。やってよかったと活動の意義を実感できます」(山田先生)

2024年11月には、茅ヶ崎市内の公園で行われた食や農、音楽をテーマにしたイベント「ハーベストパーク」にて、4年3組の子どもたち(有志)がオープニング合唱とシンガーソングライターCaravanさんのLIVEにコーラスで参加しました。

イベント主催者がプロジェクトでお世話になった農園の方で、子どもたちも参加してほしいと誘いを受けたことがきっかけです。

朝の時間や音楽の授業で練習を重ねた子どもたちは、1万人以上もの観客の前で、楽しみながら堂々と歌い切りました。

Caravanさんのコーラスで歌う子どもたち。  写真提供:山田剛輔氏

「子どもたちの歌声を聞いて涙を流している人や、舞台を降りたあとに『とてもよかった』『すごく感動した』と伝えにきてくれる人がたくさんいました。

心に残る『評価』をしてもらったことで、子どもたちは確実に歌うことに対して前向きになりました。もっと表現してみたい、聞いてもらいたいという音楽へのモチベーションも上がったと実感します」(山田先生)

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