リアルレポート「現役東大生35人に聞きました! わたしの中学受験」

新連載小説『受験精が来た!』コラボ企画#1

真田 涼

写真:アフロ

まもなく中学受験のシーズンが到来! そこで中学受験を経験した現役東大生に緊急アンケートを実施した。解説するのは、中学受験をテーマにした「受験精が来た!」で第5回青い鳥文庫小説賞 銀賞を受賞した著者の真田 涼先生。緊急連載形式で中学受験のリアルをレポートする。

真田涼先生の第5回青い鳥文庫小説賞銀賞受賞作『受験精が来た!』が電子書籍で絶賛発売中!!

グラフのスタート位置は3時より(Googleフォームで作成。以下同)

みなさん、はじめまして! 真田涼です。コクリコで小説『受験精が来た!』の連載が始まります。中学受験生の親として実際に体験したリアルな情報や驚きの真実、お子さんの成績アップに直結する塾では教えてくれない&巷の受験本やサイトには書かれていないお役立ち情報・裏ワザが満載の、面白くてやる気が出る作品です。

コラボ企画としてアンケートで集めた、中学受験経験のある東大生35人のフレッシュな情報とともに、これから中学受験を考えている方、今まさに通塾や勉強法で悩んでる方、みなさんのヒントになる記事をお届けします。

中学入試の算数では、西暦にちなんだ問題も出ることが多いので、今回は、東大生に2023にちなんだ予想問題を作ってもらいました。記事の後半にありますので、そちらもお楽しみに♪

第1回:中学受験 ~そもそも編~

現役東大生……いい響きですよね。彼ら・彼女らはどんな中学受験ライフを過ごしてきたのでしょうか? さっそく見てみましょう。

さっそく注目データを見ていきましょう。

*いつから通塾しましたか?

もっとも多いのは小4で約半数です。これは通説となっている大手塾の本格的な中学受験クラスのスタート時期(新4年生クラス)と一致しますね。一方で小5からが11.4%、小6からが14.3%もいます。

小3から通ってる子も約4分の1いますが、驚きなのが小2より前から通っている子が1人もいなかったことです。「本当かな?」と感じられる方もいらっしゃると思いますが、実際に受験生の親として見聞きしてきた肌感覚も実はこれに近いです。

ただし現在大学1、2年生のアンケート結果なので、昨今の塾事情とは若干違いがあるかもしれません。最近は、新4年生クラスから塾に入ろうとしても空きがないので、席を確保するためにそれより前から入る……というお話もよく聞きます。でも実質的には小4の本格的なカリキュラムのスタートの前に塾に通ったとしても、その内容はそこまで受験に役立つ内容は含まれていません。

先行逃げ切りを期待される方もいらっしゃるかと思いますが、小1から通塾していたのに、小4から入ってきた生徒たちに早々に追いつかれてしまい「せっかく前から通っていたのに、何だったんだろう……」と親子ともガッカリしてしまう、という例はよく聞きます。

もしいまこのコラムを読んでいらっしゃる方の中に、小5でまだ通塾されてないという方がいらしたとしても、遅すぎるということは必ずしもなさそうです。ただしすでに本格的なカリキュラムが始まっているということは忘れてはいけませんが。

*受験をすると言い出したのは本人!

中学受験をすると言い出したのは誰ですか?

何と半数近くが『本人』でした。これはなかなか驚くべき数字です。予想ではむしろ親からの誘導がほとんどではないか、と考えていました。東大に行くような子はもともと小学生のころから自立しており、主体的に行動する……とも言えそうですが、実際のところ特に男子は何だか幼い、もっと言えばあんまり何にも考えていない? ような印象があります。このグラフから父親の影が薄いということも分かります(笑) 。

やはり母親のほうが主導権を握っている、あるいは子どもにより近く、影響力も大きいようです。逆に言いますと、よく巷の受験本に書かれている「父親が熱心な子のほうが受験に成功する(父親が熱心でないと受からない)」といった論調にはそこまで振り回されなくてもよさそうです。もちろん父親本人が望んで関わるのはとてもいいことだと思いますが。

*第一志望校はいつ決めましたか?

小6の夏が約26%と最も多いですが、けっこうバラけていました。小6に入ってからの人が約6割ですが、逆に言うとそれ以前に決めている人が4割もいたということです。

小5の夏より前にもう決めていた人が17%もいるのは驚きました。「こう」と目標を定めたら初志貫徹したということでしょうか。実際に体験したものとしては、第一志望校の選択は成績以外にもいろいろなファクターがあり、なかなか迷うものです。

学校までの距離、男女別学か共学か、進学校か大学附属校かなどなど。また実際に過去問を解くようになるとよく分かるのですが、同じ偏差値帯の学校でも、全然問題の傾向が違います。

例えば国語を例にとると一般に難関校は記述重視と言われていますが、超ボリュームのある記述を求める学校(その代わり設問は少ない)、そこそこの記述量をそれなりの問題数で書かせる学校(要領の良さが求められる)、記述と記号選択の併用で一見記述が合否の決め手かと思いきや、記述は意外に部分点がつくのでそこまで致命的な差は付きにくく、むしろ記号問題をいかに取りこぼさないかが分かれ道にある学校などがあります。

国語が苦手な場合は、記述オンリーの学校は敬遠しがちですが、実は間違ったら全く点数がもらえない記号選択よりも、記述のほうが部分点をかき集められるので点数につながりやすいとも言えます。

また文章も物語文しか出ない学校、物語文と論説文が出る学校、詩も出る学校など、同じ偏差値帯でも問題傾向はさまざまで、その子の適性により大きく結果が変わるものです。

たとえて言うなら同じ水泳でもクロール・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライとあるように、クロールが速い子が必ずしもバタフライも速いとは限らないのと同じです。
国語が苦手な子こそ、記述式の学校を選ぶべきかも!?

*第一志望校を決めたのも本人!

第一志望校は誰が決めましたか?

また第一志望校を決めたのは本人が75%! という驚きの結果が出ました。あたかも本人が決めたかのように思わせる親の巧みな誘導もあるんじゃないかな……とも思いますが、これも実際に子どもの中学受験を体験したものとしては納得できる数字ではあります。

子どもは当然ながら大人よりはるかに人生経験が少なく、ピュアです。どんなに勉強ができて努力家な子でも、大人のように視野は広くありません。

塾の与える情報(誘導)、友達同士の何気ない会話、最初にすりこまれたイメージで、時に無謀な選択や裏付けのない思い込みで第一志望を選ぶこともあります。ここは上手にその気にさせながら親は関わっていきたいものだと考えます。

そしてこの第一志望決定のプロセスにはさらに父親の影が薄くなって、とうとう0になってしまいました。父親は、その他(祖父母など)と同じ割合です。東大生の父親は忙しすぎて発言権がないのでしょうか……

【算数:2023問題 No.1】
東大生が予想した問題です。解いてみてください♪(答えは最後)

【そして小説『受験精が来た!』です】
今回、現役東大生が実際に体験した中学受験のデータ、私が親として見聞きした肌感覚や臨床心理士としての知識などの一部をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 熱心な父親の子どもは受かる(父親が熱心でなければ受験する資格なんてない)。

早期教育こそ勝利への近道、新小4からの塾通いなんて遅すぎる……全く違うとは言いませんし、その子ども・その家族次第だとは思いますが、塾や受験雑誌が声高にたきつける『中学受験』、こんなに素晴らしくて、こんなに恐ろしい、それでもやらないって選択肢はない! 

そういった言葉を全て鵜吞みにする必要はないかなと思っています。ショップに行って上から下までお店の言うなりに服を買う人はまずいないのに、塾に通ったとたんに塾に進められるがまま、夏期講習・オプション特訓講座・志望校別講習・総復習コース……もうその講習が何の目的があってその先にどういう見通しがあるのか、計算もせずに取りあえず取る。

過去問は何校分を何年間分、いつ、どうやって解くのか、各子ども・各家庭のシチュエーションも考えず、いきなり手をつける。普段のビジネスや家庭生活ではあんなに冷静に、無駄なく、あるときは見切りをつけて行動しているのに、なぜか周りが見えなくなってしまう。

『受験精が来た!』は、これまで全く受験に興味のなかった小6の女の子が、いきなり現れた毒舌のイケメン妖精・受験精の助けを借りながら第一志望校合格を目指すお話です。小学生が読んでも笑って楽しめる内容ですが、ここに書いた超リアルな中学受験は、本当の情報が満載です。

そしてちょっとした気づきでグッとケアレスミスが減る方法や各科目をできるだけ無駄を省いて楽しく効果的に勉強するヒントなどを『26条の受憲法』としてまとめてあります。

親子で夫婦でお子さん自身で、これから受験を考えている人、受験をするかどうか迷っている人、いま受験でくたびれ気味だよって人も、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

次回は中学受験には欠かせない、でも悩みの種でもある『塾の活用方法編』をお届けします。

東大生は中学受験時代にどんな塾ライフを過ごしていたのか? お役に立てる情報がたくさんありますので、お楽しみに♪

算数予想問題の答え:ア=1 イ=7

さなだ りょう

真田 涼

小説家・臨床心理士・公認心理師

小説家、臨床心理士・公認心理師 公認心理師協会 理事 RinDa臨床心理士ルーム 代表 長男長女2児の親 HP:https:/...