
「自主学習」は興味があることをまとめること
──岐阜市立岐阜小学校(*1)や、山形県新庄市立日新小学校(*2)、愛知県江南市立布袋小学校(*3)、新宿区立西新宿小学校(*4)でも、生徒が自主的に学ぶ力の育成や教員の働き方改革を背景に、学校単位での改革が進められてきました。
代わりに取り入れられているのが、生徒自身が学ぶ内容を決める「自主学習」ですが、そもそも自主学習とはどういうものなのでしょうか。
伊垣尚人先生(以下、伊垣先生):自主学習(自学)というのは、子どもが知りたいことや、興味のあることを、自由にノートにまとめるというものです。
自学には、学びに対する主体性が育まれたり、表現力や思考力、まとめる力がつくなどいろいろなメリットがあります。
伊垣先生:自主学習自体は、実は新しい取り組みではなく、脈々と行われてきたものです。
僕も20年前、教師になりたてのころに先輩教師がやっているのをみて始めました。
最初は、自由にやらせて大丈夫だろうかという不安もありましたが、実際に始めてみると、子どもたちはやりたいことを見つけてどんどん学んでいってくれます。
自主学習に対する関心が今までになく高まっていると感じたのはコロナ禍ですね。
というのも、自主学習についてまとめた本を2012年に出版したのですが、2020年以降、取材や講演依頼が一気に増えたんです。
これは、子どもたちが自宅で過ごす時間が増えたことにより、どのように学びを続けていけばいいのか、教師も保護者も悩んでいたからではないか、と。
また、2020年から大きく改訂された「新学習指導要領(注1)」にも、「主体的・対話的で深い学び」という言葉が盛り込まれました。教師が一方的に教えるのではなく、子どもたち自身が主体的に学ぶ姿勢が重視されるようになったという背景も考えられます。
注1:文部科学省「新学習指導要領」