
【不登校】で成績オール1から公立大医学部へ 中2で起立性調節障害「治るまで3年」の診断 そのとき母は
不登校から小児精神科医を目指すまで 母親インタビュー第1回「不登校の始まり」/全6回 (3/3) 1ページ目に戻る
2026.07.30
教育ジャーナリスト:おおたとしまさ
おおた:別にそういう病気にならなくても、多くの親が同じように思い込んでいるんだと思います。受験期だから、ここで人生が決まるんだと思い込んでいる。
孝子:診断を受けて、自分でもそれを受け止めきれないまま、とりあえず学校には報告しますよね。先生の第一声は、「えっ、俊徳が」でした。「俊徳って、そういうタイプじゃないですよね」って。
先生のなかでは、ちょっとおとなしめで線の細い子がなる病気、みたいなイメージだったみたいで。「起立性調節障害でも、夕方からなら来られるだろうし、なんだったら部活だけのために学校に来てもいいですよ」というふうに言われました。
そのとき先生に「学校との関係が途切れると、不登校になりますから」と言われたのが、結構大きかったんです。自分の子どもが不登校になるなんて、1ミリも思っていなかったので。不登校があり得るんだ、というのがすごくびっくりで。
なんとかして、やっぱり学校には行かせなきゃいけないな、と思いました。そこから2〜3ヵ月は現実を受け入れられず、ぐるぐる考えていました。
孝子:だけど少しずつ私の考えが変わるために大きかったのは、やっぱり診断名がしっかりついていたことです。怠けているんじゃなくて病気だしな、と思えた。
それから、夫の存在も大きかったです。夫はわりと寛容で、「ゆっくり成長すればいいよ」「俊徳は大丈夫だから、今ちょっと成長しなくても、ゆっくりやればいいよ」と言ってくれて。普段はわりと夫婦喧嘩も多いんですけど、あのときは本当に寛容だったなと思います。
それでも、頑張って学校に行くと、その日帰ってきたらまたパタンと寝込んでしまう。1週間くらい寝込んでしまうこともあって。学校に行くということが、この子にとってはすごく負荷がかかるんだな、というのが否応なしにわかってきました。
健やかに成長するために学校に行くはずなのに、行くことで健やかに成長できないのなら、今は無理に学校に行かなくてもいいんだな、と。そう思えるようになったんです。だけどそれはあくまでも「仕方ないな」という諦(あきら)めの気持ちでした。
本人は、私以上に自分の状態を受け入れられませんでした。自分は絶対に元気になって行けるはずだ、と思っていて。途中から行く、夕方から行くのを何度も試したんですけど、「行くんだったら朝から行く。朝から行けば行けるはずだ」って。自分はそんなやつじゃない、という気持ちがあったんですね。でも実際は全然行けない。ダメージが大きくて行けない。
「本当だったら行けるはずの自分」と「実際には行けない自分」がどんどん乖離(かいり)していって、今の自分はダメな自分だ、というふうになってしまって。そこがすごく辛かったみたいです。
おおた:「諦め」という言葉がありました。「無理に学校に行かなくてもいい」という気持ちになったとき、同時に孝子さんは何を諦めたと思っていたのでしょうか。
孝子:「こういう高校生になりたい」という本人の思いもあったし、私も「きっとこの子はこういう高校生活を送るんだろうな」という未来像を持っていた。それを諦める、という感じでした。不登校になると、それが全部なくなってしまうと、当時は思っていて。
おおた:理想の人になってほしいなんて思っていなくても、どこかに「こういうものだよね」という“普通”があった。
孝子:そうです。その“普通”を諦めなきゃいけないんだな、と思いました。
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次(第2回)は、子どもの成績が「オール1」に、強い孤独感におそわれた母は、子ども同伴で夜遊びに繰り出すように!?取材・文/おおたとしまさ(教育ジャーナリスト)
●おおたとしまさPROFILE
教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートから独立後、教育に関してさまざまな観点から取材を行い、著書は90冊以上。2026年5月に『フリースクールという選択』(講談社+α文庫)を上梓。どこの組織にも属さない在野の視点で現代の教育への考察・提言を続けている。メディアへの出演や講演も多数。
(Xアカウント:@toshimasaota)
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全6回の1回目
2回目を読む。※2026年7月31日公開
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4回目を読む。※2026年8月2日公開
5回目を読む。※2026年8月3日公開
6回目を読む。※2026年8月4日公開



































おおたとしまさ
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。