【中学受験】の課金レースに終止符! 家庭教師が説く「子の学力を伸ばす親」の復習・環境・声かけ〔3つの極意〕

【中受伴走】家庭教師・小堀正博先生に聞く、家庭教師や塾に頼れないときの勉強法 〈後編〉 (3/3) 1ページ目に戻る

教育ジャーナリスト:佐野 倫子

保護者のサポートの極意は「できているところ」を見つける

──では、たくさんのご家庭を見てきた小堀先生に、効果的な保護者からの声かけについてアドバイスをお願いします。

小堀先生:保護者の方は「できないこと」より「できていること」に必ず注目してください。

例えば、「ここは解けたね! すごいね!」とまず褒めてから、「次はここもできるようになるともっと良いね」と伝える。すると子どもは、「認められた」という実感があるからこそ、次に挑戦することができます。

まず認められることによって挑戦する力が湧いてくるのです。順番と言い方を意識するだけで、効果倍増します。

自己肯定感を育む声かけこそが、学習を継続するエネルギーになります。親御さんの一言は、子どもにとって本当に大きいんですよ!

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「中学受験に挑戦」自体が子どもの成功体験

──中学受験には競争という側面があり、残念ながら志望校に合格できないなどで肯定感が下がってしまうケースもあります。それを避けるためにはどうすればいいでしょうか?

小堀先生:これはずっと私が申し上げていることなのですが、中学受験はあくまで通過点です。大事なのは「受験が終わったあと」。そのあとの人生を豊かにするために子どもたちは今、頑張っています。

そう考えれば、中学受験に失敗なんてないと思うのです。頑張ったことや学んだことはひとつも無駄になりません。「受験に挑戦したこと」自体がまず成功体験ですから。「受験できた」ことに自信をもってほしい。

もうひとつ。私は、一度お引き受けした生徒とは、一生の関係性だと思っています。受験後も生徒やご家庭と連絡を取り合うようにもしています。

というのも、中学受験だけを切り取って、「合格・不合格」の結果だけに振りまわされるのではなく、「学ぶこと」が生活の一部として持続してもらえるように。また、受験に限らず困ったときに相談できる関係を続けることで、子どもは安心感を持って日々過ごせると実感しているからです。

中学受験はハードです。模試で思わしくない結果がでることもあるでしょう。第一志望の学校に不合格になることだってある。そんなときに思い出してほしいのは、「中受はゴールなんかじゃない」という当たり前の事実です。

子どもたちにとっては通過点であり、充実した人生を送るための手段のひとつ。必要以上にその結果を恐れたり、悔やんだりすることなく、保護者の方はお子さんを包み込んであげてくださいね。

───◆───◆───

たとえ経済的な事情で選択肢が限られても、「基礎を大事に、着実に学びを積み重ねることで未来は必ず開けていく」と小堀先生。

私もつい先日、子どもの成績に悩んで信頼する塾の先生に相談に伺ったのですが、「諦めないでコツコツ努力を最後まで続ければ、必ずその子に合った学校に合格できますよ」とアドバイスをいただきました。

「ここまで成績を上げたいのに、上がらないからダメだ」という思考になっていたことに気づかされたのです。親が勝手に設定した目標に振りまわされて、子どもを見失っていたわけですね。

そして、大切なのは保護者が子どもの努力を認め、伴走し続けること。そのサポートとして、相性のいい家庭教師の先生とタッグを組めれば幸運だと感じました。

小堀先生へのインタビューを通して学んだのは、家庭教師の存在は学習方法だけにとまらず、「人と人との信頼関係こそが子どもを伸ばす」という真理でした。

小堀先生、ありがとうございました。

撮影/日下部真紀
取材・文/佐野倫子


中学受験伴走・家庭教師編は全3回。
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【関連書籍】

【関連リンク】

『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』著:佐野倫子(イカロス出版)
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こぼり まさひろ

小堀 正博

Masahiro Kobori
家庭教師・俳優

家庭教師、俳優。1988年生まれ、ワシントンD.C.出身。関西学院中学部・高等部を経て、関西学院大学法学部卒業。 中学受験生を中心に、小学生から高校生まで全科目に対応。オンラインでの家庭教師として絶大な人気を博す。高等学校教諭普通免許状一種(公民)、司書教諭所持。漢字検定・英検各2級。 2006年映画『かぞくのひけつ』で役者本格デビュー。現在も俳優としても活躍中。主な出演作にNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』『マッサン』『まんぷく』など。2025年秋上映の映画『長篠』では、武田勝頼役で出演。 2024年3月ギラン・バレー症候群を発病。約5ヵ月に渡る入院生活を経て退院。現在もリ ハビリを続けながら、オンライン家庭教師と俳優として活躍中。 https://www.maimupro.co.jp/profile/2316/

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家庭教師、俳優。1988年生まれ、ワシントンD.C.出身。関西学院中学部・高等部を経て、関西学院大学法学部卒業。 中学受験生を中心に、小学生から高校生まで全科目に対応。オンラインでの家庭教師として絶大な人気を博す。高等学校教諭普通免許状一種(公民)、司書教諭所持。漢字検定・英検各2級。 2006年映画『かぞくのひけつ』で役者本格デビュー。現在も俳優としても活躍中。主な出演作にNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』『マッサン』『まんぷく』など。2025年秋上映の映画『長篠』では、武田勝頼役で出演。 2024年3月ギラン・バレー症候群を発病。約5ヵ月に渡る入院生活を経て退院。現在もリ ハビリを続けながら、オンライン家庭教師と俳優として活躍中。 https://www.maimupro.co.jp/profile/2316/

さの みちこ

佐野 倫子

Michiko Sano
教育ジャーナリスト

東京生まれ、早稲田大学卒。2025年4月から東京大学大学院情報学環教育部在学中。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57

東京生まれ、早稲田大学卒。2025年4月から東京大学大学院情報学環教育部在学中。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57