小学生の海外留学は“効き目がある”? 専門家の分析と体験者の肉声

#2 留学体験談もお届け!多感な幼少期こそ留学が大きな刺激になる

留学は大きな刺激になる。子どもの素直な心には宝物となる思い出ができるはず。写真:アフロ
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新型コロナウイルス感染拡大によってストップしていた海外留学。世界各国の入国規制はほぼ撤廃され、いよいよ本格的に再開しようとしています。

幼少期から参加できるジュニア留学も再開されています。ジュニア留学は、高校生や大学生のスタイルとは異なり、夏休みなどを使った短期留学が一般的です。

とはいえ、「小学生からの留学はまだ早いかも?」と思ってしまうもの。でも、実は幼少期だからこそ得られることが、たくさんあるんです。

ジュニア留学について詳しく知るこちらの連載、第2回目は「子どもの成長や教育にどのような好影響をもたらすのか」について、留学カウンセラーの藤墳(ふじつか)美奈子さんにうかがいます。

留学は子どものチャレンジ精神を刺激する

小学生で留学する一番のメリットは、「頭ではなく五感で異文化を実感できるところ」です。

中学生や高校生になると、異文化についての知識をたくさん習得します。そうすると、留学先で見聞きしたことについて「これは学校で習ったことだな」と、あらためて頭で理解します。もちろん、それはそれで理解を深めるいい経験になることは間違いありません。

かたや小学生までのお子さんの場合、留学先での一つひとつの体験を頭よりも感覚で理解します。つまり幼少期に海外での暮らしを通して、日本にいただけでは得られない感性が刺激されるわけです。このことにこそ、ジュニア留学の価値があると思います。

たとえば、一緒に巨大なハンバーガーを食べたり、言葉が通じなくても遊びを通して仲良くなったり、食事のあとに皆でダンスしたりと、いままでの生活では体験したことがないようなシーンを通して多様性を理解します。

こうした体験によって、自然と海外に興味を持ち、自主的に語学を勉強したり、海外の大学に進学したいと思うようになったりするお子さんは少なくありません。また、新しいことへのチャレンジに対するハードルが低くなると思います。

短期間でも海外で暮らして、日本人以外の国の子どもたちと仲良くなれたという成功体験は、お子さんのチャレンジ精神を刺激するはずです。

「違う国のお友達ができた」という成功体験は、子どもの次なるチャレンジ精神を育んでいく。写真:アフロ

異文化に身を置くことで得られる感覚がある

語学を身につけるなら、日本の英会話スクールで十分では? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実際、留学を希望されるお子さんは、英会話を習っているケースが多いもの。英会話スクールでは、同年代の日本人の生徒さんと毎週決まった時間と場所で英語のトレーニングをします。ただ、レッスンが終わったら、すぐ日本語だけの環境に戻りますよね。

もちろん慣れ親しんだ環境であっても、英語を学ぶことに変わりありません。でも、留学すると、英語を使わなければ意思疎通できない環境に身を置くわけです。英語だけの環境にどっぷり浸かることで、英語は学ぶことが目的ではなく、手段であることを肌で理解します。こうした経験を通して、英語に対する意識は間違いなく変わると思います。

留学をきっかけに「もっと英語で上手に話せるようになりたい」と、英語を学ぶ意欲が高まるのは間違いありません。日本に戻ってから、英語の学習をもっと頑張るようになったというお子さんは多いですね。

これからの社会では英語が必須になると考えている親御さんからは、「小学生で留学をさせるべきでしょうか?」という相談も多く寄せられます。中学生や高校生など、もう少し大きくなってからの方がいいのでは、と思われる親御さんの気持ちはとても良く理解できます。

ただ、実際に小学生での留学を決意された親御さんの多くは、「吸収力が高い幼少期のうちに、いろいろな国籍の人たちと会話する経験をさせたい」という思いで、送り出されています。

早いうちに英語に対する抵抗をなくすことで、将来はグローバル人材として活躍してもらいたいという期待もあるようです。

留学では、日本で暮らしていると体験できないリアルな国際交流を実現できる。写真:アフロ

行って良かった&行かせて良かった! 留学体験者のリアルな声

ここからは、実際に留学を経験したお子さんの体験談と、親御さんの声をご紹介します。リアルな声を通して、ジュニア留学のイメージを膨らませていただければと思います。

【体験談1】
Kくん(12歳のときにカナダに2週間の語学留学を体験)
先生や友達のおかげで楽しく過ごせました。クラスは自分に合ったレベルだったので、良かったです。英語ができなくても仲良くなれました。授業では毎日ちょっとしたゲームをするので楽しかったです。特にヨーロッパ系の子たちが話かけてくれて仲良くなりました。僕は先生や友達にも恵まれていたと思います。

最初は正直不安ばっかりで「日本に帰りたい」と思っていましたが、いつの間にか「帰りたくない」や「カナダに住みたい」と思うようになり、とにかくカナダが大好きになっていました。それは、優しい先生たち、ホストファミリー、明るい友達のおかげだと思います。

僕は留学で勉強面、語学面、精神面で大きくレベルアップできたと思います! ホームステイに必要な物は笑顔とチャレンジ精神だと思います。たった2週間でしたが、すごく充実した楽しい2週間でした。

Kくんの保護者の方の声
英語もできないのにコミュニケーション大丈夫なのかなと思いましたが、全然大丈夫だったようです。どうやったの? と聞いても「何となく」とか「わからないけど」という声しか帰ってきませんが「どうにかなった」という話をする時の目、表情はここまでの小学校生活の中では見たことのない力を感じます。

振り返ると、今回の留学で一番大変だったのは、親である私の決断だったように思います。子供はどんな環境でも前に進む力を持っているんだということを、息子が見せてくれました。息子の留学を通して、親である私もたくさんの学びを得ることができました。

【体験談2】
Nちゃん(8歳のときにカナダに2週間のサマーキャンプを体験)
出発前に、「カナダに行く心の準備はできた?」と聞いてきたパパに、「泣いても行く!」と強く言いましたが、やっぱり不安でした。カナダ出発の日、私の半分以上ある大きなスーツケースをゴロゴロ転がし、空港へ向かいます。出発の時間が近づくにつれて寂しさと不安が押し寄せてきました。ママの胸に飛び込み、不安と寂しさでいっぱいの私を優しく包み込んでくれました。泣いても行くと自分できめたことを信じ、パパとママと別れました。

はじめての国カナダは、メープルシロップのにおいがする空港でした。カナダに着いたときは、夜7時を過ぎているのに昼のように明るかったことを覚えています。滞在先の部屋についたら、私と現地のお姉さんとふたりだけ。私は自分ができる精一杯の英語と、手と足を使った一生懸命のジェスチャーで会話しました。何とかなるものですね。

積極的に英語でいろんな人に話しかけ、少しでも伝わるようにジェスチャーし、楽しみながら過ごせるようになっていきました。サマーキャンプでは、いろいろな授業があり、私はダンスを選びました。みんなと協力して練習し、素晴らしいダンスを発表できました。

ひとりで行った初めての海外、パパもママもいない所で、自分から話しかけ、言葉のわからない友達を作る難しさはありましたが、みんな優しく接してくれました。私も、人に優しくすることを大事にしていこうと思いました。泣いても行くと言った私の覚悟は、どれだけ私を大きく変えたことでしょう。来年も絶対に行きたいです。そのためには英語を頑張ります。あー楽しかった!

Nちゃんの保護者の方の声
「泣いても行く」と決めた娘の言葉を尊重したくて、このキャンプに申し込みました。参加を決めたときから心配、不安になりましたが、その都度担当の方に相談をさせていただきました。

出発してからも不安、心配があり「こんな気持ちで 11 日も過ごすのかー!」とつらい気持ちになりましたが、担当の方に支えていただきました。心配や不安が募ると「キャンプに参加させたことは正しかったのかな?」と自問自答してしまったりもしましたが、現地での写真が見られたし、楽しそうな様子が伝わってきたので、娘を信じて参加させた決断は間違っていなかったと思います。

英語が話せないことが一番困るのかなと思っていましたが、本人曰く、それほど困らなかったといっていました。スタッフの方が携帯で翻訳してくれたりしたからだと思います。言葉が通じなくても大丈夫というのは、8歳という低年齢だったからなのかな? 子どもを心配するより、信頼することが大切だと感じました。英語ができない状態で参加しましたが、楽しそうにしている娘が頼もしく、キラキラして見えました。

お子さんの体験談と親御さんの声、いかがでしたか?

KくんもNちゃんも、文章を通して留学で大きく成長した様子が見てとれますよね。このようにジュニア留学では、自信やチャレンジの源になる精神的な成長を得られるところが魅力だと思います。

取材・文 末吉陽子

藤墳美奈子
(ふじつか みなこ)

留学カウンセラー。アメリカへの短期留学を経験後、大学時代にイギリスへ休学留学。その後、ウィッシュインターナショナルの留学カウンセラーとして 15 年以上勤務。現在は 1 児の母として、留学生のサポート業務に携わる。これまでに約 1 万名以上の方の留学に関わる。

ウィッシュインターナショナル株式会社
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