第45回講談社絵本新人賞受賞作『どんぐりず』ができるまで④

【制作日記④】どんぐりたんけん!

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どんぐり ばしゃばしゃ どんぐり がぱっ! どんぐり5人組が、木から落ちて着地するまで、まるで運動会のように走ってころんで泳いで飛びはねて……。

第45回講談社絵本新人賞を受賞したのは、この賞の歴史でもまれな「幼児絵本」。

受賞作家・秦直也(はた なおや)さんが、「どんぐり」と向き合う日々を綴ります。制作日記6回連載のうちの第4回です!
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「どんぐりになった気になれる絵本」を目指して、さっそくラフとアイデア出しです。

応募作にアイデアをふんだんに詰めこんだのはよいものの、読者に伝わりにくい部分をどのように伝わるものにするか。

もっとシンプルでインパクトのあるものにしていかなくてはいけません。

物語ることを少し脇に置き、ページ数を気にせずに、どんぐりたちの動きやポーズのパターンを出してみることから始めてみました。
アイデアを形にするべくラフを描くのが一番楽しい時間。
『どんぐりず』は、ライフワークとしてSNSに毎日1枚投稿していたときに生まれた、「リスがどんぐりの上をすべる作品」から始まっています。

動物を主役に考えていきづまったときに、どんぐりをキャラクターにすれば絵本になるのではないかと思ったのがきっかけです。
すべてはこの「リスがどんぐりの上をすべる」絵から始まりました!
これまでリアルな動物ばかりを描いてきたので、今回のどんぐりのようなキャラクターは初めてです。

どんぐりのことを中心に考える絵本なんてできるのだろうか。不安しかありませんでした。

そして、怖いと講評され続けたリスの、怖くない出し方があるのか悩みます。

特にどんぐりたちが「ぱくっ」とリスにくわえられるシーンが課題です。
どんぐりがリスに「ぱくっ」とくわえられるシーン。
11月に入って2回目の打ち合わせ。

まずは、どんぐりの図鑑を見てどんぐりの種類を決めてみようということに。

どんぐりたちがポーズを決める場面は、こちらを向いているのが良いかもなどとNさん。さーて、リスをどう登場させようか。

公園にどんぐりひろいに行ってみました。

10種、計150個ぐらいのどんぐりを持ち帰ってきました。候補はアベマキ、もしくはコナラとすることに。
明石公園でひろい集め、持ち帰ってきた約150個のどんぐり。
どんぐりは、手に取ると彫刻みたいで可愛らしく、子どもたちが好きになるのにも納得。

地面にコロコロしてる姿に心つかまれました。

ただ、どんぐりって99%ぐらいは転がって終わるんだなとも感じました。

木の下に足の踏み場がないぐらい落ちていたり、そんな中でもちらほら芽を出していたり、頭から出た根が地面とつながっていたり、アスファルトに落ちて粉々になっていたりと、個々に物語があることを感じました。

転がり落ちる場所によって運命が決まるどんぐりたち。このことは、絵本の根っこになる気がしました。
どんぐりから出てきたゾウムシ4匹の幼虫を瓶で飼うことに。一緒に埋めたどんぐりからは芽が出ました!
そして茹でたり冷凍したりしないと、クヌギからは9割、ゾウムシの幼虫が出てきます。

ゾウムシも好きなので、結局、4匹ぐらい飼うことになってしまいました。夏に出てくるでしょうか?

Nさんは、小学生のとき、海苔の缶に、セミの抜け殻を100個集めたことがあるそうです。
はた なおや

秦 直也

Naoya Hata
絵本作家

1981年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業。 2024年、『どんぐりず』で、第45回講談社絵本新人賞受賞。絵本に『いっぽうそのころ』、著作に塗り絵ポストカードブック『おしごとどうぶつ編』などがある。

1981年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業。 2024年、『どんぐりず』で、第45回講談社絵本新人賞受賞。絵本に『いっぽうそのころ』、著作に塗り絵ポストカードブック『おしごとどうぶつ編』などがある。