みなさんは病院などで「レントゲン写真」をとったことがありますか?
「息をとめて──はい、そのまま! ……」
という、あれですね。
レントゲン写真のさつえいには、からだのなかをうつせる、とくべつな光線(X線)が使われます。その光線を発見したのが、ヴィルヘルム゠レントゲン博士。ドイツの物理学者です。
1895年のある日。レントゲンは、つとめていた大学の実験室にやってきました。
今日は、空気がないところに電気を流すと、何が起きるか、調べるつもりなのです。
実験に使うのは、まわりを黒いボール紙でおおった管と、1まいの蛍光紙。表面に蛍光塗料をぬった紙です。
レントゲンは、実験室をまっ暗にすると、管に電気を流しました。
10秒、20秒──管のなかの空気がすべてぬけました。すると、管の先におかれていた蛍光紙の上に、細い線が、すうっと1本、あらわれたのです。
「光だ! 管のなかから光がでた! でも、どんな光だろう?」
レントゲンは、紙に手をのばし、あっと声をあげました。
紙の上には、レントゲンの手の骨が、くっきりとうつっていたのです。
「いったい、どういう光だ?」
こんどは、紙をもっと遠くにおいて、実験しました。おくさんや友だちの手の骨も、うつることをたしかめました。
レントゲンは、その光線を「X線(何だか、わからない光)」と名づけ、発表しました。
からだのなかをうつしだせる光線が、見つかったのです。おかげで、多くのけがや病気をなおすことができるようになりました。世界じゅうが、大よろこびです。
レントゲン博士は1901年、第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。
幼児図書編集部
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