親子で「ペアプログラミング」 子どもの将来を広げるプログラミング的思考
プログラミング教育“はじめの一歩”#3「遊びの中で楽しく学ぼう」
「これは小学校2年生のクラスで実際に行われた、プログラミング教育を取り入れた授業です。給食の準備にまつわることなんですが……。
夏休みやコロナ禍で学校に行けない時期を経て再登校となった子どもたちは、すっかり給食の準備のやり方を忘れてしまっていたのです。あれだけ1学期に頑張って習得したのにスムーズにできず、昼休みにまで昼食が食い込んで、遊ぶ時間がなくなってしまいました」(小林先生)
子どもたちが抱えた問題を解決するために、小林先生は「どうすれば給食の準備を時間通りにできるだろうか」という授業方法を担任の先生にアドバイスをしました。
「まずはクラス全員で主な作業の洗い出しをしました。給食時間からスタートして、マスクをつけるとか、コップに水を準備するとか、マグネットカードを作ったんです。
カードができたあとは約20分間、グループ単位で準備の順番を考え、足りない作業項目は子どもたちに書き足してもらいました。給食当番のときとそうでないときも考えるように伝えて、どこまで同じ手順で進めるかにも着目させたのです。
最後はグループごとに自分達のフローチャートを発表して、違っている部分や書き加えている内容などを議論し、子どもたち自身で効率性を踏まえた手順を導くことができました。この授業を終えると、実際に準備がうまくいったんですよ!」(小林先生)
授業を経験した子どもたちからは「給食の準備のしかたが前よりよくわかるようになった」「作った手順表をみんなでちゃんと守りたい」などの感想が上がったそうです。自分たちで手順を作ったという体験は、子どもたちの理解度だけでなく責任感も養うことができたと小林先生は加えます。
給食の準備の取り組みは、「論理的に考えてゴールを達成する」というプログラミング的思考を子どもたちがパソコンを使わずに実践し、論理的思考をお互いに高め合ったプログラミング教育の好例といえるでしょう。
子どもたちの可能性を広げてくれるプログラミング教育ですが、一方で、授業方法が確立されていなかったり、地域差があったりといった課題があるといいます。
「じつはどのタイミングで、何の教科で、どんな内容を勉強していくかは基本的に各学校に任せられています。専用の教科書がなく指導が難しいため、例えば茨城県つくば市や那珂市では市の教育委員会が音頭をとって、共通するカリキュラムを市内全域で展開している例もあります」(小林先生)
まだまだ手探りで発展途上のプログラミング教育。各学校が工夫をこらしながら、指導方法を模索している面もあるようです。
第2回は「おうちでできるプログラミング教育」について紹介します。
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小林 祐紀
茨城大学准教授。博士(学術)。金沢大学大学院教育学研究科修了後に石川県内の公立小学校にて約10年教壇に立つ。2015年より現職。専門は...