2021.10.01

「ぼよよん行進曲」中西圭三が明かす「歌詞と曲が同時にできた」奇跡

15年以上、子どもにも大人にも親しまれた名曲「ぼよよん行進曲」に込めた想い

著者:山口 真央

中西圭三さん

聴けば勇気と元気をもらえる!「ぼよよん行進曲」はまさにそんな曲です。「おかあさんといっしょ」(NHK Eテレ)での発表から15年、ずっと愛され続けるこの曲を手がけたのは中西圭三さん。曲づくりの秘話と、曲に込められた想い、そして昨年の緊急事態宣言下で話題となった、歴代のお兄さんお姉さんが歌う動画「大集合『ぼよよん行進曲』」が実現した経緯についても話していただきました。

歌詞と曲が同時にできた奇跡の曲

友人で作曲家の堀井勝美さんから「ぱわわぷたいそう」を歌ってほしいとリクエストされて、「おかあさんといっしょ」にご縁ができました。そのあと堀井さんから、番組に楽曲提供してみないかという話をいただいて、大変光栄なことと思い、依頼をお受けしました。

最初の打ち合わせの前から、自分の足の下には強力なバネがついていて、辛いことがあっても、足の下のバネを信じていれば大丈夫、という漠然としたイメージがありました。

自分が子どものころから「しあわせは〜歩いてこない♪」でおなじみの「三百六十五歩のマーチ」が好きでたくさん元気をもらっていたので、マーチ、すなわち行進曲にしたいということを、スタッフさんにお話ししました。スタッフさんには賛同していただいて、できあがったのが「ぼよよん行進曲」です。

だいたい僕の場合は最初に曲をつくって、それに言葉を当てはめる曲づくりをしていたのですが、今回は子どもたちに向けた曲だから初めてのことにトライしてみようと考えました。それで以前、仕事でご一緒していた作詞家の田角有里さんと「せーの!」で曲と歌詞を同時につくってみることにしました。

Aメロってこんな感じだよね、じゃあBメロってこうだよね、そういう歌詞だとサビはこうだよねと、あっという間に、迷うことなくつるるんとできてしまった。思い返すと、奇跡のような時間だったと思います。

自分でもかなりの手応えを感じていたので、スタッフさんの反応を楽しみにしていたのですが、聞いてもらったところ、長くないですか、とお返事いただきまして。人の話をよく聞かない僕が悪いんですが、依頼された尺をかなりオーバーしていた。

幸い、1番を歌ったあとサビに飛べば尺におさまったので、ほっとしました。それからしばらくたって、別のスタッフの方にその経緯をお伝えしたら、ぜひスペシャルで歌わせてほしい、と言っていただいて、ロングバージョンの「ぼよよん行進曲」が世にでることになりました。

お兄さん・お姉さんの大合唱動画は大きな反響がありました

昨年4月にYouTubeで、番組を卒業したお兄さん・お姉さんが「ぼよよん行進曲」を大合唱する動画に出演しました。前の体操のお兄さんである小林よしひささんからSNSを介して、「ぼよよん行進曲」をみんなで歌いたい、圭三さんにも何かしらの形で参加してほしいと連絡をもらったのが発端でした。

そこで僕はオリジナル曲も編曲してもらっている小西貴雄くんに、この企画用にアレンジをお願いしました。そして、お兄さん・お姉さんたちに1曲丸々歌った動画を送ってもらい、それをよしお兄さんと一緒に編集していきました。

よしお兄さんに、圭三さんも歌ってくださいと言われたんですけど、客観的にみて、僕がでる場面はないな、と思ったんですよ。お兄さん・お姉さん大集合で、特番でも見られないぐらい豪華でしたから。結局、曲の最後にハモる形でラスボスのように登場させていただきました(笑)。

動画が公開されてから(2020年4月29日〜)の反響はものすごかったですね。今も動画の再生回数は伸びていて約1800万回(2021年9月末現在)を超えています。

「ぼよよん行進曲」の最初の歌詞に「どんな たいへんな ことが おきたって」というフレーズがありますが、もしこの曲で皆さんに、人生でしんどいことがあっても、それを意味あるものに変えていけるのは、自分自身だというメッセージに気づいてもらえたら、作曲者としていちばん価値があることだと思います。

そして今年は、「おかあさんといっしょ」の映画でも「ぼよよん行進曲」を歌ってくれるそうです。15年前に曲をつくったときは、まさか2021年公開の映画で歌われるなんて想像もできませんでした! 

2006年の4月、今井ゆうぞうさんとはいだしょうこさんが初めてこの曲を歌ってくれました。残念なことにゆうぞうさんは昨年他界されてしまいましたが、番組が60周年のときの自己紹介で「みんなが大好きな『ぼよよん行進曲』を、最初に歌ったお兄さんなんだよ!」と言った笑顔が、今も心に残っています。

そのあとも、横山だいすけさんと三谷たくみさん、そして小野あつこさん、花田ゆういちろうさんと、大切に歌い継いでくれていて、ありがたいですね。映画はまだ観ていないので(6月取材時)、どんな場面で歌われているのか、公開を楽しみにしています。(取材/山口真央)

写真:『映画 おかあさんといっしょ ヘンテコ世界からの脱出!』より
全国公開中!(https://eiga-okaasan.jp/2021/)
©️2021「映画 おかあさんといっしょ ヘンテコ世界からの脱出!」製作委員会

「ぼよよん行進曲」
作詞 中西圭三・田角有里
作曲 中西圭三
2006年4月のうた。心に強く響く歌詞と、感動的なメロディーで、困難を乗り越える勇気を与えてくれる一曲。サビのところで、びよ〜んと高く飛び上がる振り付けにも注目!

 
中西圭三

1991年デビュー。ダンスボーカルユニット・ZOOに提供した「Choo Choo TRAIN」がミリオンヒット(2003年にEXILEがカバーし再ヒット)。1992年には自らの楽曲「Woman」もヒット、海外アーティストとも楽曲をリリース。NHK「おかあさんといっしょ」の「ぼよよん行進曲」「まんまるスマイル」「あさペラ!」など楽曲提供で活動の幅も広がっている。また児童虐待防止啓蒙運動である「オレンジリボン運動」など、社会貢献活動へも参加。地域・国境・境遇を超えた音楽でのコミュニケーションを目指し、精力的に活動を続けている。
中西圭三オフィシャルサイト https://www.keizo.net/

この記事は現在発売中の「NHKのおかあさんといっしょ 2021年秋号」に掲載されたものです。

『NHKのおかあさんといっしょ 2021年夏号』

歌のお兄さん・今井ゆうぞうさん 『NHKのおかあさんといっしょ』雑誌編集者が明かす思い出

著者紹介

山口 真央 やまぐち まお

1986年東京生まれ。一児の男子を育てる母。講談社の幼児雑誌「げんき」「おかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」や、各編集部から出版される書籍の編集・ライティングを担当。
「おともだち」では作家”寺田真央”として「名作絵本」を連載中。

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