2021.02.09

えがしらみちこ 「はじめました えほんやさん」第7回

著者:えがしら みちこ

※この記事は、講談社絵本通信(2019年2月)掲載の企画を再構成したものです。
 

こんにちは。絵本作家のえがしらみちこです。

今年の冬は、例年よりあたたかい印象ですね。

「えほんやさん」では、『ゆきみちさんぽ』(講談社)の原画展を開催中ですが、同じシリーズの『はるかぜさんぽ』のほうが売り上げがよくて、少々複雑な気持ちになっています(笑)。

原画展の様子

佐野美術館と勝手に連動企画

「えほんやさん」から歩いて10分くらいの場所に「佐野美術館」という佐野隆一さんが創立された美術館があります。

佐野美術館外観

この美術館は、刀剣・人形・絵画・絵本などの展覧会を中心に活動しており、2017年にはミロコマチコさんの「いきものたちの音がきこえる 」展、2018年には「おさるのジョージ」展を開催しています。

館長さんが日本刀に詳しい方で、佐野美術館所蔵の日本刀も特に名品が揃っているそう。
そして、毎年1−2月に日本刀の展覧会が開催されていたのですが、3年ほど前からなにか様子が違っている……というウワサは聞いてました。


「刀剣乱舞」というオンラインゲームの影響です。(NHKの紅白にも出たりしてだいぶメジャーになってますね)
展覧会初日には、何千人という行列が美術館入り口に並び、それを予想できていなかった初年度は、「え? 日本刀??」「急に、なぜ……?」と、街中がざわざわしていたのを覚えています。

翌年には、刀剣乱舞と三島市、そして佐野美術館とのコラボ企画が立ち上がり2回目となる今年(2019年)、あることがきっかけで、えほんやさんも参加させてもらうことになりました。


それが、このトークイベント

講座の告知画像

日本刀に詳しい三島在住の方が「なぜ全国から日本刀を見に人が集まっているのか?」というテーマでお話ししてくださったのです。

・数あるゲームの中で、なぜ「刀剣乱舞」がこんなにヒットしているのか?
・日本刀って写真や画像で見るのと違うの?
・ゲームがきっかけで注目されるようになった「燭台切光忠」の話
・刀剣に関心のある方を「審神者(さにわ)」と言う


などなど……。

トークイベントの他に実際に美術館で鑑賞するツアーも開催されました。

「日本刀」という壁が大きすぎてどこから入ればよいのかわからなかった謎の世界に、穴を開けてくださったような気分でした。

このトークイベントをきっかけに、有志の方があつまり「勝手にスタンプラリー」という企画が立ちあがりました。
公の機関が作った6箇所のポイントをまわる「公式スタンプラリー」
それに便乗して、三島の街をもっと楽しんでもらおうと9店舗の個人店が参加し、公式のスタンプラリーシート(その他三島の地図なら何でもOK)に押印するというシステムです。

公式スタンプラリーシート 
6箇所のスタンプポイントのうち、佐野美術館を含む3箇所のポイントを回ると景品と交換

勝手にスタンプラリーのスタンプたち

企画がギリギリだったので、ツイッターでの告知のみ。

「果たしてどれくらいの人が参加してくれるのかな…」と少し心配もあったのですが、予想を上回る反応で、300人分くらい用意していた景品が2週間くらいで底を尽き、あわてて追加発注していただくほど。

もちろんスタンプだけ押して、すぐお店を出られるかたも数名いらっしゃいましたが、絵本を手にとってくれたり、「仕事で嫌なことがあったけど、ここにきて癒されました」と言ってくれた方もいらして嬉しいことのほうが多かったです。

みなさん、ツイッターに感想や買ったものなどをアップしてくれるので、とっても励みになりました。

連日「えほんやさん」でエゴサーチして喜んでいます。

1人や2人でいらっしゃる女性が多く、スタンプラリーも前向きに参加してくださって、好きなものを追いかけて、旅行も楽しんでいる姿がとっても素敵だなぁと、お客様からも学ぶことが多いイベントでした。

「えほんやさんは」詳しい方にアドバイスをいただいてファンイラストと写真スポットで歓迎しました〜。
いろいろ相談に乗ってもらえて心強かったです。ありがとうございました!

このイベントを通して、感じたのは

・三島は小さな街でまとまりがあるので、個人商店同士が連動して何かをすると回遊しやすい
・個人商店はSNSをあまりつかっていないので、地方で上手く使うと情報がまとまりやすい
・三島の人はお祭り好き


……ということ
今年は11月にヒグチユウコさんの展覧会も開催されるし、三島駅からシャトルバスで行けるビュフェ美術館も絵本の企画が開催されるので、連動して何かできたらいいんじゃないかなぁと考えています。(※展覧会は終了しています。)

街の絵本専門店としての「えほんやさん」

単発のイベントで県外や三島外の方にアプローチすることも続けていきたいですが、大事なのは三島市や近隣の方にどういう存在でありたいかを考え続けることだと思っています。
お客様にとって「えほんやさん」は、今どんな存在なのか? どんな存在になりたいか? そのために何をしているか?
……と、常に模索しています。

「えほんやさん」のオープン前から考えていた「おかあさんの心の拠り所になれるような場所になりたい」という思いから、週に2回、ボランティアの方にお願いしておはなし会を開いています。

おはなし会の様子。
たまに編集者さんが試作中のものを読んでくださったり、絵本作家さんが登場したり!

おはなし会は「水曜15:00〜園児向け」と「木曜11:00〜0,1,3歳児向け」の週2回。
年齢別にしていますが、あくまでも絵本の内容の目安として設けています。

読み手さんも足りないので、募集していたら「やったみたいけど、やり方がわからない……」とおっしゃってた方がいらしたので

「よみきかせ・はじめのいっぽ」を企画しました。
イベントをひらいてみると、関心が高い方が多く、すぐに埋まってしまうくらい人気の講座です。

その他、好きな絵本を持ち寄ってみんなでお茶会をする「夜の絵本カフェ」

絵本セラピストさんの選書した絵本を読んでもらい、テーマにそって語り合う「絵本セラピー」

これらの3本柱のイベントは、定期的に開催していきたいと考えています。そうして、地元で絵本に関心のある方を増やし&繋げていけたらいいなぁ。

えがしらみちこの絵本

お気に入りのワンピースきて、あたらしいおくつをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『はるかぜさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのかさもって、ながぐつはいて、カッパ着て、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『あめふりさんぽ』
作:江頭路子 講談社

おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは? 

『さんさんさんぽ』
作:江頭路子 講談社

秋のつめたい風のなか、おさんぽで出会ったのは、どんぐり、みのむし、まっかなおちば……。

『あきぞらさんぽ』
作:江頭路子 講談社

雪がいちめんに降ったある日、おさんぽで出会ったのは、どんな音?

『ゆきみちさんぽ』
作:江頭路子 講談社

「ねえママ、おばけの音が、きこえるの」夜、こうちゃんは、おばけがこわくてねむれません。チクタク、チクタクの音は、なんのおばけ?

『ねんねのうた』
作:江頭路子 講談社

著者紹介

えがしら みちこ えがしら みちこ

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』(文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。静岡県三島市在住。