えがしらみちこ 「はじめました えほんやさん」最終回

えがしら みちこ

※この記事は、講談社絵本通信(2019年12月)掲載の企画を再構成したものです。
 
こんにちは。
絵本作家のえがしらみちこです。

先日、お店の前の看板を新しくしました!
シンプルでかわいい〜。
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探していたイメージ通りの看板に出会えて嬉しい♪
黒地に白のロゴでハッキリ見えるようになって、少しは目立つようになったかな。

本屋でのカメラ問題

お店が忙しい時は、店頭に立って接客することがしばしばあります。
そんな中、ついに遭遇してしまったのです。できれば見たくなかった……。
本屋あるある?
あれ? あれれ?? 本屋さんは情報を扱っている場所なので、写真撮影は、基本的には禁止だったような……。

うーん。他の書店やネット通販でも本の価格って同じだし、しょうがないことなのかなぁ。
あの絵本の良さが伝えられたという面ではよかったのかな……。

と、色々なことが頭をよぎって、その場では何も言えませんでした。



そして、下の2点を考えました。


1) 撮影ルールを提示しよう

携帯のカメラ機能が進化し、みんなが手軽に撮影できる今、「撮影」に関する暗黙のルールが揺らいでいる気がしています。

美術館でもフォトスポットが用意され、撮影OKマークや禁止マークが明記されるようになってきました。お店のディスプレイにも撮影禁止マークが貼ってあるのを、たまに見かけますよね。

じゃあ、ウチのお店で撮影することに関して、どうか……。

・絵本の表紙を撮影されるのはモヤモヤする
・購入していない人がパシャパシャ撮影だけして帰るのもなんだか怖い

でも、ひとこと声をかわすと、モヤモヤな気持ちってなくなるよね と、思ってこういう張り紙をすることに↓
東京の「えほんのみせぱっきゃまらーど♪」さんのアイデアです
ほんとうは、貼り紙ってしたくないのだけど、色々な考え方の人が集まる場所なので、お互い気持ちよく接したいですもんね。
2) えほんやさんでお買い物をするという価値

書影を撮られたときに、もう一つ感じたことは、「あの人は、無意識だろうけど、ウチのお店でお買い物をする価値がないって思っているのだろうなぁ」ということ。

お買い物って出会いだと思うのです。

「あのお店でキラキラして見えたこの商品」「あの土地を歩いたときの自分がキュンときたこの商品」……そのモノと体験とがセットになって、自分のまわりに居てくれる。

その商品を見ると、当時のことを思い出したり、初心にかえれたり。

ステキだな、可愛いな、と心が動いたお店に入ると、その気持ちを持って帰りたくて、何か買うものを探している自分がいます。


でも、あの人は、「えほんやさん」にそれほどの魅力を感じてくれてなかったのよね……と少し悲しい気持ちになったと同時に、魅力的なお店になるために何ができるかなと考えることにしました。


この答えが出るのは、まだ時間がかかりそうです。


そしてそして、ひとつアイデアとして出した答えは……。

ネットショップと比べてえほんやさんでお買い物したほうが価値があると思ってもらえるために、何か特典をつけよう! ということ。


本に関わる何かを……と考えて、思い出シールを作ることにしました。
思い出シール、試作品
これは、お客さまとの会話で「絵本の見返しに子どもの年齢や反応を書くと思い出になっていいよ」という声を聞いたのがきっかけです。


この思い出シールの下の方に、「かったおみせ」という項目をつけています。

これが無いほうが……という方がいらして、とっても悩んだのですが、やっぱり、お店を営んでいるのだから、ここに「えほんやさん」と書いてもらっても恥ずかしくないお店でありたいという、自分たちを鼓舞するためにも(エゴなのかもですが)いれさせてもらうことにしました。

印刷が間に合えば、年明けくらいから1冊に1枚、付けていく予定です。
****

お店をやっていると、自分とは違う考えの方にたくさん出会い、その都度いろいろ思考をめぐらすことが多くなりました。
でも、何もなかったら、ただ本を仕入れて販売するだけの作業で1日を終わらせるタイプなので、考えるきっかけをもらえて良かったなと思ったのでした。
2回目のお正月がやってきます
あと1週間で2020年。お店をはじめて1年と2ヶ月です。


まだまだ試行錯誤で、時代がかわり続けていく限り、ずっとこうやって考えることが続くのだろうと思っています。

未熟な私たちですが、三島の街やお客様といっしょに楽しい場所に成長していけたらと考えています。これからもどうぞよろしくお願いいたします!!


そしてなかなか「えほんやさん」へくるのが難しい遠方の方、静岡にいらした際には、ぜひ遊びにいらしてくださいね^^
お待ちしています!

えがしらみちこの絵本

おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは?

『さんさんさんぽ』
作:江頭路子 講談社
お気に入りのかさもって、ながぐつはいて、カッパ着て、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『あめふりさんぽ』
作:江頭路子 講談社
おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは?

『さんさんさんぽ』
作:江頭路子 講談社
秋のつめたい風のなか、おさんぽで出会ったのは、どんぐり、みのむし、まっかなおちば……。『はるかぜさんぽ』につづく、人気シリーズ。

『あきぞらさんぽ』
作:江頭路子 講談社
お気に入りのマフラー巻いて、帽子にてぶくろ、ブーツをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。

『ゆきみちさんぽ』
作:江頭路子 講談社
「ねえママ、おばけの音が、きこえるの」夜、こうちゃんは、おばけがこわくてねむれません。チクタク、チクタクの音は、なんのおばけ? カタカタ、カタカタの音は、なんのおばけ? 

『ねんねのうた』
作:江頭路子 講談社
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えがしら みちこ

Michiko Egashira
絵本作家

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『クリスマスのおとしもの』、『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』『ありがとう』(ともに文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。2018年、子育てママパパの居場所にと、静岡県三島市に絵本専門店「えほんやさん」をオープン。代表もつとめている。 http://www.tenkiame.com/

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『クリスマスのおとしもの』、『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』『ありがとう』(ともに文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。2018年、子育てママパパの居場所にと、静岡県三島市に絵本専門店「えほんやさん」をオープン。代表もつとめている。 http://www.tenkiame.com/