3歳息子がコロナ陽性! 複雑な濃厚接触者ルールに振り回された5人家族の話

子どもが陽性になったら、家族の待機期間はどうなる? リアルな体験談をレポート

ライター:山本 奈緒子

混乱その② 家族によって待機期間がバラバラ!

Aさんが「もっとも振り回された」と言うのは、家族によって待機期間がバラバラだったこと。

というのも、息子さんの陽性が判明してからすぐに自宅内隔離をおこなった人、おこなわなかった人、さらに息子さんから感染したか、しなかったか、によってもまた待機日数が変わってくるからです。
隔離の状況で待期期間が変化
そこでまずは、当時の陽性者の療養期間、濃厚接触者の待機期間をおさらいしておきましょう。

※現在は変わっていますので、ご注意ください。
<陽性者の療養期間>
症状を発症した日の翌日から10日間経過、かつ症状軽快後3日間経過していること。
無症状の場合はPCR検査を受けた翌日から10日間経過。

<濃厚接触者の待期期間>
陽性者と最後に接触した日の翌日から10日間。

※自治体によって違うこともありますので、必ず自分が居住する自治体のHPなどを確認してください。

幼児の世話をしている親は 自動的に待機期間が長くなる

「同居している母、夫、娘は、息子の陽性が判明した日から自宅内隔離を始めたので、その翌日から10日間の待機ということになります。でも私は息子の世話をしなければならないので、接触しないのは無理。その場合は、息子の療養期間が終わった翌日からカウントすることになります。つまり、他の家族よりも私だけ7日間長く自宅隔離が必要になるということです。

しかもうちの場合、息子の発症日が、検査での陽性確定日ではなく最初の発熱日と認定されたため、夫や娘たちの濃厚接触者認定日とズレが生じました。最初の発熱時に検査を受けられて陽性と分かっていれば、夫も娘もこの日が最終接触日となるので、全員が同じ自宅待機期間になって分かりやすかったのですが……。でも実際はバラッバラ。誰がいつまで待機が必要なのか、もうワケが分からなくてそれがかなり大変でした。」
ということで、Aさん一家のそれぞれの自宅待機期間をいったん整理してみましょう。
【3歳息子】 
1月17日が発症日 →(隔離期間は翌日から10日間)→1月27日療養期間終了

【母・夫・娘】 
(息子さんがPCR検査で陽性確定した)1月20日が濃厚接触者認定日 →(待機期間は翌日から10日間) →1月30日待機解除

【Aさん】 
息子さんの療養期間が1月27日に終了 →(その翌日からさらに10日間の待機が必要)→2月6日待機解除
これだけでもすでにワケが分からなくなりそうなのですが、混乱はまだまだ終わりません……。
待機期間がバラバラ。

混乱その③ 陽性より陰性のほうが待機期間が長くなるという矛盾!

上記のそれぞれの待機期間はあくまで陰性だった場合のもの。息子さんから感染していた場合はまた変わってくるのです。

というのも、濃厚接触者は希望すればPCR検査を受けられるのですが、この検査で陽性が判明すれば、検査を受けた日の翌日から10日間の待機となります。Aさんたちが検査を受けたのは1月24日ですので、もしAさんたち自身が陽性だった場合は、待機期間は次のように変わってきます。

母・夫・娘・Aさん(全員無症状)
検査を受けた翌日の1月25日が起算日 →(10日間)→2月3日隔離解除


ここでもう、気づいた人も多いのではないかと思います。そう、Aさんの場合、陽性だったほうが陰性だった場合より隔離期間が短くなるのです!
陰性のほうが隔離期間が長い?
「保健所の人も、説明しながら『矛盾してますよねえ、はは……』と意味不明な笑いを漏らしていました。だから逆に、少しでも早く待機期間を終えたくて、陽性狙いで検査を受けに行く濃厚接触者も多いと聞きました。

実際、検査所はピンピンした濃厚接触者であふれ返っていて。しかも、その検査機関のホームページに『お越しの際は公共交通機関を利用しないでください』と書かれていたので、私はバカ正直に寒空の下、必死で自転車を漕いで行ったんです。コロナじゃなく、普通に風邪を引きそう! と思いましたね。

で、行ったら行ったで大混雑。一応パーテーションで仕切られてはいるけど、同じ部屋に50人ぐらいが待っていました。何の手違いか予約が取れていなかった年配の男性が、『今日受けられなかったら取引先の商談に出られなくなるんだよ!』と悲痛な叫びを上げていて。飛沫が飛んじゃうよ! とヒヤヒヤしましたね。そのぐらい、全てがてんやわんやという印象でした」
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