古代のワニを中学生が研究!大阪層群で発見されたワニ化石を深掘り!
MOVEラボ研究員・助手のはるきが地元大阪で発見された古代のワニを調査
2024.09.23
日本の古代のワニとは?
高槻市の「タカツキワニ」(約110万年前) (地図③)
岸和田市の「キシワダワニ」(約70万年前) (地図①)
豊中市の「マチカネワニ」(約45万年前) (地図②)
この3つが大阪層群で発見されたワニの化石です。
大阪層群は300万年前から30万年前に、大阪平野や大阪湾、京都盆地や奈良盆地に溜まった地層で、大阪層群の上部には海で溜まった海成粘土層がはさまっています
高槻市の「タカツキワニ」
生息していた時期は「地質時代区分」の「新生代第四紀更新世」で、約110万年前です。氷河時代にあたりますが、温暖な間氷期と寒冷な氷期が何度も繰り返されていて人類が進化し地球上に分布を広げた時代でもあります。
この付近の地層は「大阪層群」と呼ばれ、約300万年前~30万年前に大阪平野や大阪湾、京都盆地や奈良盆地に溜まった粘土と砂礫の地層です。
少なくとも3個体に属する脊椎骨が多数見つかっていますが、マチカネワニに比べると小型です。頭骨が発見されていないために特定ができずタカツキワニという仮称がついています。
歯の化石は保存状態がとても良く、歯冠にはエナメル質が完全に残されていて、大阪市立自然史博物館に保存されています。
岸和田市で見つかった「キシワダワニ」
キシワダワニも大阪層群から発見され、産出地点のボーリング調査でアズキ火山灰石が見つかり、約60万年前に生息していたと推定されました。また、同時に行われた花粉化石と珪藻化石の分析の結果、キシワダワニの生きていた時代は今よりもやや涼しく、川の流れ込む干潟に埋もれていたと考えられました。
ただ、種類を決められるほど大量の化石が見つかったのはマチカネワニが初めてです。キシワダワニも頭骨を復元すると種類を決めることができるほど完全で、マチカネワニにつぐ、大阪の南北でワニの二大発見となりました。
発見された骨はほとんどが頭骨であり、特に頭蓋後半が発見された中で部位に重複がないことにより、同一個体の化石と推定されました。1999年にマチカネワニの可能性があるとされ、正式な名前はマチカネワニ岸和田標本となり、キシワダワニは愛称となりました。
もしキシワダワニがマチカネワニと同種であれば、少なくとも60万年前には日本の地に現れていたことになります。しかし、その後の研究で、複数の相違点が見つかり、キシワダワニがマチカネワニなのかどうかは今も研究が続いています。
相違点:
鼻骨が長く、左上顎骨は長さに比べて幅が大変狭い。
眼窩と上側頭窓は内外径が前後径より大きい楕円形。
上顎骨と歯骨の形から吻部は細長いと推定される、等。
初めて見た本物の全身骨格がこのマチカネワニだったのですが、そのときの衝撃がすごく、これのマチカネワニの化石を見たからこそ、今もずっと古生物についての興味を持ち続けられているのだと思います。ですので、もっとマチカネワニについても詳しくなりたいし、将来僕もマチカネワニを研究するチームの一員となってマチカネワニについて研究出来たら最高だと思います。
だからそのためにも、これからもマチカネワニについて調べていきたいと思います。
写真・文/横井晴輝(MOVEラボ研究員)