ナイトツアーに出発!
夜はカエルやヘビ、カニなどの夜行性の生きものが活動する時間。イリオモテヤマネコにだって出会えるかもしれないので、寝てなんかいられません。
そんな夜の生きものたちを求め、ガイドの赤塚さんの案内でナイトツアーに出発です。このわくわく感はたまりません。
川にはカニやテナガエビがいっぱい
さっそくカニを発見です。ベンケイガニやクロベンケイガニなどのカニ類があっちにもこっちにもいて、気をつけないと足で踏んでしまいそう。夜はカンムリワシなどの怖い捕食者がいないので安心して行動をするのでしょう。
さらに探し続けると、今度はコンジンテナガエビが水から出て岩の上を歩いているのに遭遇。このエビはイリオモテヤマネコの食べものの 1 つということですが、こんな感じじゃ、簡単に捕まってしまいそうです。それでも食べ尽くされないところをみると、本当に生きものの数が多いんだなと実感します。
川の次は海岸にやってきました。西表島のナイトツアーで、ぜひ出会いたい世界最大の陸上甲殻類のヤシガニを見つけるためです。
ヤシガニは、太平洋やインド洋の暖かい地域の海岸にすみ、日本では南西諸島や小笠原諸島で見られます。大きなものは4kg にもなるという巨大なヤドカリのなかまです。
見つけるポイントは、海岸にはえるアダンの木。夜になるとアダンの果実を食べに姿を見せるのでそれを狙います。しかし、いそうな場所を丹念に見ていきますが、なかなか見つかりません。そんなときにガイドの赤塚さんが珍しいヤドカリを発見。コムラサキオカヤドカリです。なんとこのヤドカリ、国指定の天然記念物。西表でもあまり数が多くない陸にすむヤドカリです。
ゴツゴツしたサンゴの岩場を登っていくと、そこにはなんと 6 匹のヤシガニがいるではありませんか。あたらめて近くで見ると巨大なハサミがちょっと怖いぐらい。こんなにたくさんのヤシガニはめったに見られないと、赤塚さんも興奮気味です。
猛毒のアオマダラウミヘビに遭遇
このウミヘビは日中は海中にいますが、夜になると上陸する習性があります。コブラ科のヘビで猛毒を持ちますが、性質はおとなしく捕まえようとしなければかみついてくることはありません。とはいっても、近づくにはちょっと勇気が必要かも。
西表島の夜の生きもので、忘れてならないのはリュウキュウコノハズクです。大きさ約 22cm のフクロウのなかまで、トカラ列島以南の南西諸島に一年中暮らしている夜行性の鳥です。「コフォー、コフォー」と特徴のある大きな声で鳴き、西表島ホテルの森からもよく声が聞こえました。
ただ、森にいるのを見つけるのはかなり大変。狙い目は、電線にとまっているのを探すことです。この鳥の獲物は昆虫で、よく電線に止まって狩りをしているので、それを見つければ観察することができます。
ぜったいお勧め! 満天の星空観察
今回の図鑑旅でも満天の星空を堪能できましたが、あまりの星の多さに言葉を失うほど。私の人生でこれほどの星空を見たのは初めてでした。
「子どもの夢をかなえる“図鑑旅”プロジェクト」とは?
コロナ禍での行動制限や活動自粛に伴い、子どもの自然体験や旅の機会が減っていることに憂いや不安を抱いている保護者が増えている昨今。MOVE編集チームでは、図鑑編集に携わる私たちならではの「好奇心を刺激し、夢をかなえるような旅を子どもたちにしてほしい」、「濃い思い出として記憶に残る数日を親子で過ごしてほしい」—そんな思いを込めて家族で楽しめる旅を企画しました。
図鑑がきっかけで興味をもったり、好きになったものを自分の五感で見たり、触れたり、感じることができる旅。実物に触れることで、図鑑からスタートした好奇心を、さらに刺激してあげることができる旅。これを編集部では、“図鑑旅”と名付けて、これからも様々な目的地を探っていこうと思っています。
また、今回の旅の実現に向けて、全日本空輸株式会社様、株式会社星野リゾート様には、企画のスタートの段階より、目的地やそこでの過ごし方について相談し、多くのご協力をいただきました。
柴田 佳秀
元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。
元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。