ティラノサウルスには羽毛が生えていたのか?

最近の研究では、多くの小型獣脚類(じゅうきゃくるい)に羽毛が生えていたと考えられています。実際に、中国やモンゴルでは、多くの羽毛恐竜の化石が見つかっています。ティラノサウルスの祖先のなかまであるディロングからも羽毛の痕跡(こんせき)がみつかっていることから、ティラノサウルスのなかまも、羽毛を生やしていたと考えられています。
 ただ、小型獣脚類は、羽毛を保温のために生やしていたと考えられているので、ティラノサウルスのような大型の獣脚類には羽毛は必要なかったかもしれません。体がじゅうぶんに大きいと、体が産み出す熱量が大きいため、保温する必要がなくなるからです。
 そこで、ティラノサウルスは子どもの、体の小さいときには、保温のために羽毛を生やし、成長するにつれて、必要なくなった羽毛は抜けていったのではないかという考えもあります。現在描かれている復元画では、大人のティラノサウルスには、体の上部に、たてがみのような羽毛を描いているものもあります。
 2012年には、モンゴルで発掘された、ユウティラヌスという大きさ9mのティラノサウルスのなかまが発表されました。ユウティラヌスには羽毛の痕跡がありました。いままで考えられていたよりも、大型の獣脚類からも羽毛の痕が見つかったことで、ティラノサウルスやアルバータサウルスなど、大型の獣脚類にも羽毛が生えていた可能性がでてきました。
 ただ、時代や場所により、気候条件なども違うため、すべてのティラノサウルスのなかまが大人になっても羽毛を生やしていたかどうかは、まだわかりません。

■関連:「恐竜」144-153ページ