希少な「ギフチョウ」をゲット! 中学2年生の「生きもの博士」はフィールドワーク命!

MOVEラボ研究員 助手しんご「ボクの、観察・研究日記」vol.2

ギフチョウ
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昆虫から化石まで! 研究者顔負けの観察眼を持つ中学生がレポート!

MOVEラボ研究員・助手の工藤真悟(中2)
くどうしんご⚫︎2011年生まれ。ものごころついた頃から昆虫が大好き。図鑑を見て多くの生きものに憧れて育った。昆虫、そして化石と鉱物も大好きで産地を調べてあちらこちらへ採集と観察に向かう。フィールドワーク命!!!
〈MOVEラボ研究員とは?〉
MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。

メンバーは現在24名! 中学生以上は「助手」として活動しているよ!
https://lab.zukan-move.kodansha.co.jp/

小さいころから憧れの「ギフチョウ」に出会った!

春の蝶といえばやはりギフチョウ! ギフチョウは日本の固有種であり、岐阜県にしかいないわけではなく24府県に生息しています。なぜ名前に岐阜が入っているかというと、今の岐阜県下呂市で初めて見つかったからです。
幼虫は主にカンアオイのなかまの葉を食べて成長し、夏には落ち葉の中で蛹化し、およそ10カ月の蛹の期間を経て3月下旬から6月上旬に年に一度発生します。羽化の予測は難しく、ほかの蝶のように積算温度がなく、羽化はその年の残雪の量、桜の開花に左右されるといわれています。

そんなギフチョウは環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、国際自然保護連合では準絶滅危惧種に指定されています。その美しさ、希少性、特異な発生からすべての蝶の中でも一、二を争う人気といっても過言ではない蝶です。僕も小さいころからずっと憧れの蝶でした。

ギフチョウを観察しよう!

ギフチョウはカンアオイが生えている日当たりがよく、下草がない良く管理されているような雑木林にいます。前述したように羽化の時期はその年の残雪の量、桜の開花が重要です。平地では大体4月上旬から下旬くらいがピークです。残雪の量はアメダス、桜は開花マップなどを見るとよいです。また気温は14度くらいから、晴れだとよく飛びます。
いそうな雑木林を見つけ、当日の温度が14度を超える晴れ予報なら観察しにいきましょう。もし時期と場所があっていたなら多くのギフチョウが観られるでしょう。

午前は日光浴、交尾をしていて、午後は高いところを飛んでいるので、楽に採るなら午前の内がよいと思います。青に集まるので青ネットを持っていくことは必須です。

実際にギフチョウをゲット! その観察方法とは?

ついにこの春、ギフチョウを観察することができました! オス2匹を採集しました! 以下採集記です。

2025年4月2日
天気……曇り時々晴れ
最高気温……17度

この日は天気予報では晴れでしたが、曇りにすこし晴れ間がさすくらいの天気でした。そのため、ギフチョウはいませんでした。しかし自己初採取のスギタニルリシジミ、コツバメ、ミヤマセセリを採ることができたので満足でした。

桜は5分咲き、スミレ、ミツバツツジは満開という絶好のコンディションだったので、晴れれば飛ぶと確信して次の日に託しました。現地で同業者の方に、「今はまだ寒いから、山のふもとにいるかも」と教えてもらい、下の林道を往復してみました。
ボクの採集&観察アイテム

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ついにその日が来た!

2025年4月3日
天気……晴れ
最高気温……18度

今日は天気予報では曇り時々晴れでしたが、ずっと気持ちのいい晴れでした。
気持ちの良い晴れ!
11時くらいから汗ばむほど暑くなり、期待大で山を登ると高所をものすごいスピードでギフチョウが飛んでいました。網も届かず、速かったのでネットインできませんでした。

少し気温が下がってきた15時ごろ、ついにギフチョウが飛んできてくれました。蝶の中では少し速い部類でしたが、ジュラ棒と60口径だったので余裕でネットインしました。
採取したギフチョウは標本に!

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