絶滅生物が伝説や神話のモチーフに!? イギリスに伝わるアンモナイトの伝説とは?

【ちょっとマニアな古生物のふしぎ】古生物学者・相場大佑先生が見つけた古生物のふしぎ

古生物学者:相場 大佑

アンモナイトは石になった蛇?イギリスに伝わる昔話

ウィットビー修道院(左)と聖ヒルダのモニュメント像(右)
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2025年の干支は「巳」、蛇の年です。

イギリスのある地域では、アンモナイトの化石は石になった蛇だと考えられていたという昔話が伝えられています。今回は「聖ヒルダの蛇石伝説」と呼ばれるそのお話を紹介します。
聖ヒルダの蛇石伝説
今から1300年以上も前の7世紀、イギリスの北部にあるウィットビーという地域でのことです。ヒルダという女性の聖職者(*1)が、ウィットビーにやって来ました。ヒルダは海岸沿いの崖の上に修道院(*2)を建て、そこで多くの人々に神の教えを広めることになりました。

当時のウィットビーはまだ町ではなく、そこにはたくさんの蛇が住んでいたそうです。この時代、蛇は悪魔と関連づけられ、邪悪なものとして人々から嫌われていました。

ヒルダは修道院を建てる前に、その蛇たちを退治することにしました。神の力を授かったヒルダは、不思議な呪文で千匹もの蛇を石に変え、崖から海に突き落としました。こうしてウィットビーから邪悪な蛇がいなくなり、崖の上に建てられた修道院を中心として町は栄え、人々は幸せになりました。めでたし、めでたし。

これが、ウィットビーの町に伝わる「聖ヒルダの蛇石伝説」です。

*1)聖職者は、神様を信じて教えを広める仕事をしている人のことです。教会でお祈りをしたり、人々に神様の教えを伝えたりします。
*2)お祈りのために時々来る教会とは異なり、熱心な信者が生活をする施設です。
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