隕石衝突後も恐竜は生きていた? 最新研究から見る「恐竜絶滅」のナゾ
講談社の動く図鑑MOVE「恐竜2 最新研究 新訂版」より解説します
2024.02.14
恐竜は隕石衝突後、すぐに絶滅してしまったのか? 最新研究から解説します
直径10kmもの隕石が落下! その凄まじい衝撃の内容とは……?
隕石衝突後も恐竜は生きていた?
ところが近年、この隕石衝突後も恐竜たちが生きていたのではないか、という研究が世界中で発表されています。もし、隕石の衝突によりすべての恐竜が絶滅したなら、世界のどこかで大量に恐竜の骨が見つかるはずです。しかし、今のところそういった証拠は発見されておらず、逆に隕石衝突後も恐竜たちが生き残っていたのではないか、と考えられる証拠がいくつも出てきているのです。
現在のアメリカ・アラスカ州にあるデナリ国立公園は、恐竜時代には北極圏にあたる場所です。そこで、植物食恐竜であるハドロサウルスの仲間の親子の足跡の化石が発見されました。当時、アメリカ最北端のアラスカは、今よりは暖かいものの、冬は寒く厳しい環境でした。大人の恐竜だけなら暖かい南へ移動することが可能だったかもしれませんが、子どもと一緒では難しかったでしょう。つまり、気温の低い地域に暮らす、寒さに適応する恐竜がいた可能性があるのです。そういう恐竜がいたのであれば、衝突の冬の厳しい環境を乗り越え、その後何十年、何百年と生きていてもふしぎではありません。
南極の近くでは、隕石衝突後から500万年後のシダの仲間の植物の化石が発見されていることから、南下して被害を逃れ、生き延びることができた恐竜がいた可能性もあります。
「わたしが発掘調査をしているアラスカはとても寒い地域ですが、恐竜たちが生きていた時代は、季節によってはあたたかかったと考えられています。南極も同じような気候だったので、隕石衝突後も、もともとすずしいところにくらしていた恐竜であれば、『衝突の冬』を生き延びていた可能性があります。しかし、生きのこっていた恐竜たちにも、隕石衝突後には大きな環境の変化がおとずれたでしょう。恐竜にも食べ物の好みがあり、その食べ物がなくなってしまったことで、数十年、数百年、数千年単位で恐竜が減り、絶滅してしまったとされています」(『講談社の動く図鑑MOVE 恐竜2 最新研究 新訂版』p83)
最後の恐竜は、いつ、どこで息絶えたのか。新たな証拠が見つかり、さらに研究が進めば、そのナゾが解き明かされる日が来るかもしれません。