墨にかくれるかしこいイカもいる!?(EX MOVE 深海の生きもの)P63に関連
2017.06.02
生き物はいろいろな方法で敵から逃げます。
イカは自分で吐いたスミをおとりにして、敵の眼をそらして逃げるという技を持っています。
イカもタコも墨を吐きますが、墨の役割がちがいます。
イカの墨はねばねばしており、海中に墨を吐き出すとしばらくかたまりのまま漂うので、敵が墨のかたまりに気をとられている間に逃げることができます。
一方、タコの墨はさらさらしていて、吐き出すとすぐ海中に広がります。墨が黒い煙幕のような役目をするので、敵がタコを見失っている間に逃げるのです。
しかし墨をおとりとして使うだけではなく、煙幕のように使うイカもいるようです。
上の映像は、2013年6月6日、西マリアナ海嶺の水深約160mで撮影されたツツイカ目の1種です。
イカが勢いよく墨を吐いて逃げたと思いきや、よく見ると、墨の後ろに戻ってかくれていることがわかります。
敵から姿をかくし、その場からいなくなったかのように見せかけているようです。
しばらく墨の後ろにとどまったあと、一瞬にして逃げていきました。
イカの墨の使い方はほかにもあるようです。
ある研究では、ヒメイカという小型のイカが、狩りをするときたくみに墨を利用していたと報告されています。
あるヒメイカは自分とえものの間に墨を吐いて自分の姿をかくし、すばやく突進してえものをとらえていました。
また、はなれた場所でいくつか墨のかたまりを吐き、えものの注意をそらしてから攻撃するヒメイカもいたそうです。
ほかの種類のイカもこのような行動をとるのかなど、詳しいことはわかっていません。
しかしイカのなかまが知性をもっていることは確かなようです。