あの日、あの時、胸躍らせて目撃したのは何だったのか? 今回取り上げるのは「3月6日」(1966年)。
最高時速450キロを誇るいなづま号。その試運転の取材にきた由利子だったが、さまざまな偶然が重なり、いなづま号の中に人工生命 M1号が紛れ込んでしまう。M1号に運転室を荒らされたいなづま号は暴走。万城目たちは車両に残されたイタチ少年を助け出そうとするが……。
いなづま号の試運転が行われる
一方、由利子は毎日新報の記者としていなづま号の取材にきていた。いなづま号は最高時速450キロで走行し、東京から北九州までの区間のうち、5分の4は地底を走行するらしい。いまいち要領を得ない列車指令室主任の説明を聞き終えた由利子たち報道陣は、いよいよいなづま号に乗り込む。そこには、毎日新報のカメラマンと偽った一平、そして肩車で大人のふりをしたイタチとヘチマもいたのだった。
そのころ、万城目は「M1号」と名づけられた人工生命体を輸送する依頼を研究者から受けていた。M1号は、高圧ボンベで圧縮しトランクに入れられており、それを運んでほしいというものだ。万城目は確認のため、依頼主である相川教授の前でトランクを開けるが、そこに入っていたのは星川航空の撮影機材だった。トランクはすり替わっており、一平が間違えてM1号の入ったトランクを持ち出してしまったのだ。