アースガロンの愛嬌はどこから? 『ウルトラマンブレーザー』スタッフインタビュー後編

監督、シリーズ構成に直撃する『ウルトラマンブレーザー』スタッフインタビュー後編

テレビマガジン編集部

『ブレーザー』の制作の裏側を直撃!

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©円谷プロ ©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京 PHOTO/講談社
大好評放送中の『ウルトラマンブレーザー』。そのメイン監督・シリーズ構成の田口清隆氏と、脚本・シリーズ構成の小柳啓伍氏にインタビューを敢行! 前編では、おふたりの出会いや影響を受けた作品をお話しいただきました。この後編では、『ブレーザー』についての裏話を掘り下げ! 後半戦に向かう『ブレーザー』をより楽しめる秘話が満載です。

引き続き、『ブレーザー』の企画経緯についてお話しいただければと思います。主人公が隊長というのも、最初から決めていたのでしょうか?

小柳さん

自分がふと「隊長が主人公ってどうですか?」と言ったら、田口監督も「俺もそう思ってたんだよね」と言ってくださったのが最初でしょうか。『ウルトラマンZ』でもヘビクラ隊長という、良い形の隊長ができたので。今度はそれを主人公にしてしまえば面白いと思って提案しました。
田口監督

今回の主人公が所属する部隊は特殊部隊にしたいという小柳さんのアイディアがありました。今まで、5~6人ですべてをこなす防衛隊に違和感があったんですよね。そういう世界観のシリーズなら問題ないのですけど、自分がやるならそれこそ『ガイア』みたいなそれぞれの専門家がいる集合体であるべきだと思っていました。

とはいえ、主役になるのは5人程度の隊員なので、それなら特殊部隊にするというのは良いアイディアだなと。大きな部隊があって、各セクションがある。そのなかで自由に動けるという設定の特殊部隊。これなら5~6人でやるならぴったりだと思います。それに、特殊部隊なら隊長も現場に一緒にいくので。「それなら、そのまま隊長を主役にするのはどうか」というアイディアが小柳さんから自然に出てきたのだと思います。

ウルトラマンブレーザーの設定について

ウルトラマンブレーザーの設定についてはいかがでしょうか? 左右非対称なデザインも特徴的です。

左右非対称の頭部と、赤と青のラインが走る独特なデザインのウルトラマンブレーザー  ©円谷プロ ©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京 PHOTO/講談社
田口監督

デザインについてですが、以前、特撮展で当時のウルトラセブンのマスクを見て感動したのですが、現物は思いっきり左右非対称なんですよね。「こんなに左右違うのか!」って驚きました。でも、セブンの表情ってそこから生まれたんだなと思って。また、生き物なら、左右非対称が当然じゃないですか。怪獣を作るときも、ついつい綺麗に左右対称に作りがちなんですけど、怪獣は最も左右対称にしちゃいけないものだと僕は思っているんです。電子から出てきた宇宙人とかなら別ですけどね。

あと、デザインを担当した後藤正行さんも、僕よりもっと前から今日に至るまで、ウルトラマンのデザインに関わっているじゃないですか。本編に出ていない、ゲームに登場するウルトラマンのデザインまで、全部描かれている。後藤さんも、もしかしたら数をこなしたことで行き詰まっていらっしゃるところもあるかもしれないのですが、アイディアがたくさん出てくるんですよ。
ウルトラマンギンガ〜ウルトラマンタイガまでのニュージェネレーションウルトラマンたち  ©️円谷プロ PHOTO/講談社
なかなか採用されなかった案もいろいろあるんですけど、今回に関しては「やっちゃおう」と。どこまでも原点に寄り添って作った『シン・ウルトラマン』があって、ニュージェネもこれだけいろいろなデザインを作っている。そのどれとも被らない、でも良いところは見習う、そんなデザインでいけるかなと。

あとは「生き物、宇宙人である」ということもテーマでした。昔から、ウルトラマンは服を着ているのかどうかという疑問がありました。まず今回は、服を着ていないと想定しています。故郷では、「怪獣の狩りをしている戦士である」という設定を作り、そこから逆算しています。

頭部については、光る部分をたくさん作りたいって思ったんですよ。発光するおもちゃが出たときに、かっこよく光るぞっていう。そして、光るならやっぱり頭だよねとなりました。また、最初は独眼竜政宗のように目に傷をつけようと思ったんですよ。ただ、「顔に傷があるのはちょっと」と言われて、その代わりにできたのが左の頭部から吹き出している青い結晶体なんです。僕のなかでは、ブレーザーが自分の星で顔にダメージを受けた際に、顔から出たエネルギーがかさぶたみたいに固まってるんじゃないかと思っています。あくまで個人的妄想です。あえて設定とはしないでおこうと。まだ誰も知らない星のことですから。

ハンター的な戦い方も特徴です

田口監督

「歴代ウルトラマンのコレクションアイテムを廃止する」と、最初の企画書でも書いたんですよ。でも、きっと何かのアイテムを集めなくてはいけない。そこで、「怪獣のDNAを集めるウルトラマン」という案が初期にありました。怪獣を倒して、その怪獣のエネルギーをDNAカプセルに込めて、そのカプセルで武装を変えていく。「ハンターのウルトラマン」という案が最初だったんです。ただ、「あまり野蛮な感じはダメ」と言われ、ならしていったのが現在の形です。

とはいえ、僕の頭の中ではもうそういうキャラなので、それをスーツアクターの岩田栄慶さんやアクションコーディネーターの寺井大介さんに相談したら、ふたりもそれに乗ってくれました。「ハンターなんだから」とノリノリでふたりが作ってくれたのがブレーザーの動きや叫び声なんですよね。

アースガロンはいかがですか?

田口監督

『トリガー』と『デッカー』でやっていたようなCGの戦闘機は出さないと決まっていたので、「ならば、もうロボットしかない」という流れで、自然に決定した感じでしたね。もともとこっちも「望むところ」だったのですが、僕はセブンガー以上に良い感じになる、旧作のロボット怪獣はなかなかもういないと思っているんですよ。ですので、セブンガーの時の既存怪獣のリファインではなく、新怪獣でいきたいと考えました。

また、今回は、変身アイテムからアースガロンに至るまで、バンダイさんと商品企画の段階から共同で行っています。アースガロンも、バンダイさんに僕と気の合うデザイナーさんがいて、その方にお願いして一緒に進めていました。
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