アースガロンの愛嬌はどこから? 『ウルトラマンブレーザー』スタッフインタビュー後編

監督、シリーズ構成に直撃する『ウルトラマンブレーザー』スタッフインタビュー後編

テレビマガジン編集部

令和にガヴァドンが復活!

『ブレーザー』のガヴァドン回は、オリジナルの『ウルトラマン』第15話「恐怖の宇宙線」に忠実なストーリーラインのお話という印象を受けました

田口監督

元々のエピソードが神回なんで(笑)。実相寺昭雄監督は僕のなかでは神の中の神なので、変な改変はできないんです。ただ、ずっと温めていた話はあったんですよ。「ガヴァドンAを描いた少年はすでに交通事故で亡くなっていて、その絵が形見のようになってしまっている。怪獣を消すために、少年の親友が守るその絵を消せるのか」という、すごく暗いお話でした。あまりにも暗すぎたので、脚本の中野貴雄さんに「こういうことを考えてるんだけど、あんまり気にしないで」と言って書いていただいたのが、あの回です。それを見て、「やっぱり明るいほうがいいよね」って思いましたね。
6月に開催された制作発表でも非常に話題になった、ガヴァドンA  ©円谷プロ ©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京 PHOTO/講談社

ガヴァドンAも新規スーツで登場しました

田口監督

僕はずっとブルトンとガヴァドンAを推していました。当然、「かっこいい怪獣がいい」という考えもあるので、ブルトンもガヴァドンAも最初改めて人気が出るとは信じてもらえなかったんですよ。でも、(『ウルトラマンZ』の)ブルトンが成功したこともあるのか、ガヴァドンAも作っていただけたんでしょうかね。

あるとき、円谷プロ造形部「LSS」の“親方”がそっと近づいてきて「ガヴァドン造ってるよ」と教えてくれたんです。「絶対、俺の監督回で出しますから何卒よろしくお願いします」って唾つけさせてもらいました(笑)。

田口監督はかわいいものがお好き!?

アースガロンや『Z』のセブンガーは、硬派なミリタリーテイストとキャラクター性が共存しているのがポイントだと感じます。このアイディアはどこからきているのでしょうか。

攻撃を受け、ぐるぐる目玉になったアースガロン  ©円谷プロ ©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京 PHOTO/講談社
田口監督

それは、先ほど影響を受けた作品として挙げさせていただいた『ゴーストバスターズ』ですよ(笑)。(注:インタビュー前編を参照)「ラスボスがマシュマロマン!?」みたいな。なんだかんだ言っても、かわいいものも好きなんですよね。今は男性や男児にもかわいいものが好きというのが認められている時代がきていると思っています。男の子がぬいぐるみを抱いててもいいし、女の子が怪獣を握りしめていてもいい。ならば、かっこいいと可愛いは両立できると思っていて、『Z』のときに、ゴリゴリのミリタリーなのに、可愛いを取り入れることで、違う層のお客さんにも刺さるんじゃないかと提案したんですよ。セブンガーもああいうデザインなので、当初は「これは男の子にはウケない」みたいな声が結構あったのですが、結果的に多くの方に受け入れられた。可愛くてもカッコよければ男の子にもウケると証明することができた。

なので、今回のゴリゴリのSFな世界観でも、可愛いさは取り入れていこうと思いました。ガヴァドンも出しましたしね。デザートじゃないですけど、ちょっと違うものを混ぜ込んだほうが絶対に良い味わいになるという自信がありました。

『ブレーザー』は後半戦に突入!

『ブレーザー』のテーマは「コミュニケーション」とのことですが、それについて教えてください

田口監督

主人公を設定する際、どの年代の人にも「それある!」と思える、主人公に感情移入させる方法はないかと考えました。そこで、僕は板挟みになってる人を主役にしたいと思ったんです。隊長を主役にすると、部下たちと上司に挟まれる人になる。そして、隊長がウルトラマンなら、人類とウルトラマンの板挟みになるし、人類と怪獣の板挟みにもなる。隊長ならある程度の年齢なので妻子がいてもいい。すると、家庭と仕事での板挟みにもなる。板挟みってどのセクションの人にも起きているんですよね。僕も40代を迎え、いろいろな仕事をしてると、「誰もが味わっていること」ってこういうことだなと思って。「よしこれだ、そこをドラマにしよう」と思いました。

こうして、本作はコミュニケーションがテーマということになりました。そして、このテーマは今後の展開も含めた、本作の縦軸にも活きていくことになります。

本編では、「1999年の隕石」や「V99」という新たなワードが登場しました。今後の展開について、視聴者の皆さんに期待してほしいポイントを教えてください

ゲバルガと戦うアースガロンMod.2  ©︎円谷プロ ©︎ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京 PHOTO/講談社
田口監督

今回、あまり縦軸をガチガチにするつもりはなくて、まずは各話独立した面白さを目指しています。とはいえ、全体を通したストーリーは必要なので、小柳さんとも今の社会情勢についていろいろと話したなかで、今後展開される今回の縦軸になる話が出来上がりました。実は13話までの時点でも細かく伏線を貼ったりしていますが、本格的になるのはここからです。どういう展開になるか、お楽しみにしていただければと思います。
小柳さん

おかげさまで、SKaRDのメンバーたちは皆さんに愛してもらっていると思います。14話からは「俺たちの知っているSKaRDが苦難に立ち向かい始めるぞ」といったように、新たな1話という感じで見ていただけると嬉しいです。
SKaRDの隊員たちと、地球防衛隊日本支部 司令部参謀長のハルノ レツ。彼らが今後、どんな困難に立ち向かうのか楽しみだ  ©円谷プロ ©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京 PHOTO/講談社
『ウルトラマンブレーザー』Blu-ray BOX Ⅰ(特装限定版)
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■価格 25300 円(税込)

全く新しいウルトラマンシリーズの幕を開ける『ウルトラマンブレーザー』が豪華仕様のBlu-ray BOXで登場。メイキング映像やBlu-ray BOXならではの豪華限定特典を封入。
©円谷プロ ©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

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テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。