『フランケンシュタイン対地底怪獣』『地球防衛軍』『海底軍艦』の3大特撮映画の魅力を探る
『ゴジラ&東宝特撮OFFICIAL MOOK vol.22』&『23』はアクション・メカ・怪獣がてんこ盛り!
2024.05.21
今回取り上げる3作品は、1957年公開の『地球防衛軍』、1963年の『海底軍艦』、1965年の『フランケンシュタイン対地底怪獣〈バラゴン〉』です。
この時期にはほかにも、『宇宙大戦争』(1959年)、『世界大戦争』(1961年)、『妖星ゴラス』(1962年)、『緯度0大作戦』(1969年)など、数多くの東宝SF特撮映画の傑作が作り続けられています。
世界に誇るSF映画が続々と作られた!
このような世界の状況と比べてみても、この時期の東宝の特撮SF映画は明らかに突出しており、オリジナリティにあふれるエンタテインメント作品が揃っていたといえるのではないでしょうか。
それではこうした傑作群がぞくぞくと製作されるなかで作られた、3本の映画の魅力を探っていきましょう。
田中友幸・本多猪四郎・円谷英二のムービーマジック!
まず、ミステリアンがすごい!
10万年前の母星(火星と木星の間にあった第五遊星ミステロイド)での核戦争の生き残りで、火星に移住していたという彼らは、地球人に対して半径3キロの土地と婚姻の自由を求めるという、ある意味現実的な交渉を持ち掛けます。
もちろん真意はそこにはなく、いずれは日本を手中に収めようと企んで、女性の拉致や要求の拡大を行っていくのですが。
彼らは階級によって違う色のヘルメットを着けていることで軍隊的な統制を思わせ、日本語をしゃべりつつも原語らしい音声も低く聞かせることで翻訳機の存在を感じさせ、また暑さに弱いので基地としているドームの中が涼しいというこだわりぶりが、リアル感を与えてくれます。
彼らの操る巨大なロボット怪獣モゲラも、実は基地建設用の土木作業を目的とした掘削機で、透明な下あごとか、途中でちぎれたような太いしっぽとか、回転ノコギリの一部のような背びれとか、人間の想像を超えたデザインが、実にミステリアン的で魅力に満ちたものになっています。
そしてそれに対する地球防衛軍もすごい!
男子の憧れの空想兵器といえばドリルとパラボラですが、モゲラがドリルロボなら、地球防衛軍は元祖パラボラ兵器であるマーカライト・ファープで反撃します。
敵の熱線を弾き返すと同時に同等の熱量の光線を放ち、4脚に装備された無限軌道で移動する強力な兵器ですが、その連続使用限界である75分のうちに、地球防衛軍の空中戦艦が電子砲の攻撃でミステリアンのドーム基地を破壊するというW攻撃で、みごと勝利するのです。
海底軍艦 轟天号がムウ帝国の陰謀を叩き潰す!
この作品の最大の魅力は、東宝特撮に数々の名メカニックのデザインを残した小松崎 茂による轟天号の勇姿でしょう。
原子力を動力に、4つのジェットターボエンジンで飛行も可能なうえに、艦首のドリルで地中も進み、その先端には冷線砲を装備、艦橋部分には4基の電子砲があり、絡みついてくるマンダには帯艦電撃をお見舞いするという万能ぶり。
その人気は高く、『海底軍艦』以降にも、『惑星大戦争』や『ゴジラ FINAL WARS』でも同名のメカや新・轟天号が活躍しているほどです。
身長20メートルというリアルな巨大さが生む迫力!
高さ20メートルといえば、マンションであれば6階の屋根、建物でいえば国会議事堂ぐらいになります。
ドイツから運ばれた心臓から15年をかけて少年に成長したフランケンシュタインは、さらにぐんぐんと大きくなり、頑強な体と怪力だけを武器に育ての母というべき科学者を守るため、地底怪獣バラゴンと激闘を繰り広げます。
全長25メートルのバラゴンは熱線を吐きもしますが、むしろ俊敏にジャンプもできる運動性の高さと、肉食で山小屋の中の人間を食べて服だけを吐き出すというリアルな凶悪さが恐ろしい、怪獣というより超大型人喰い猛獣の様相で迫ります。
哀しきモンスターであるフランケンシュタインと、最強捕食獣であるバラゴンの、ともに現代社会では受け入れられづらい者同士の戦いには、なんとも切ないエンディングがふさわしいのかもしれません。
【書籍情報】
『ゴジラ&東宝特撮OFFICIAL MOOK vol.22 フランケンシュタイン対地底怪獣〈バラゴン〉』
『ゴジラ&東宝特撮OFFICIAL MOOK vol.23 地球防衛軍/海底軍艦』
価格:各税込定価 880円
TM&©TOHO CO.,LTD.
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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