『仮面ライダーBLACK』の誕生と新世界にせまる!

『仮面ライダーBLACK SUN』Prime Video配信記念 BLACK誕生秘話

テレビマガジン編集部

1987年10月4日から放送が始まった、仮面ライダーシリーズの第9作『仮面ライダーBLACK』。

暗黒結社ゴルゴムによって改造されてしまった、主人公・南 光太郎(みなみ こうたろう)が仮面ライダーBLACKへと変身し、人類の破壊を目論む暗黒結社に立ち向かう姿を描いた物語です。

それまでの仮面ライダー像から一新して描かれた、時代を先駆した独自のスタイルと、「仮面ライダー0号」として位置付けられたコンセプトもファンから支持されており、現在でも人気を博しています。

そのリブートとして、『仮面ライダーBLACK SUN』が2022年10月28日の午前0時にPrime Videoにて世界独占配信されます。

そこで、今回は作品の原点である『仮面ライダーBLACK』誕生の裏側や、支持を得る理由にせまっていきます。
仮面ライダーBLACK。1987年当時、ヒーローのメインカラーに黒をもってくることは相当の冒険であった。  ©️石森プロ・東映

新プロジェクト始動の裏側にテレマガが…!?

『仮面ライダーBLACK』は、テレビシリーズとしては『仮面ライダースーパー1』以来、6年ぶりの『仮面ライダー』であり、雑誌連載とお正月特番で展開された『仮面ライダーZX』からは、およそ3年半ぶりとなる期待の新ヒーローでした。

その企画の発端は、手前味噌で恐縮なのですが、1986年にテレビマガジン編集部が刊行した『仮面ライダー大全集』にあるのです。

この一冊は、当時は珍しかった、迫力のスチールを多用したグラフィックページにプラス、シリーズの魅力をさまざまな角度から検証するといったマニアックな内容で、『仮面ライダー』から『仮面ライダーZX』までの全作品を研究しています。

社内事情もあって、表紙カバーでは「テレビマガジン創刊15周年」と謳ってはいますが、じつは『仮面ライダー』の誕生15周年の意味もかねていたのです。発売日を『仮面ライダー』の放送が開始された記念日である、1986年4月3日に間に合うように設定してあったのはそのためです。
『仮面ライダー大全集』表紙カバー。上部に創刊15周年記念と記載されている。現在まで保管していた著者の私物を撮影したため、少し破損しているのはご容赦いただきたい。  (1986年刊行)
ありがたいことに『仮面ライダー大全集』は、高額本としては例のないヒット書籍となりました。その勢いで、秋には怪人を中心にした『仮面ライダー怪人大全集』も発刊し、こちらも相当なロングセラーとなります。しっかりとした土台のある「仮面ライダー」は、当時の青年層にも強くアピールし続けているという事実が、ここではっきりしたのです。

このインパクトは、新たな「仮面ライダー」の企画につながり、新テレビシリーズのプロジェクトが動き始めることになります。ここでもっとも新しかったことは、従来の子どもたち以外にも青年層を意識することで視聴者層を膨らませ、「仮面ライダー」に新たな潮流を生み出そうという企画者たちの意気込みだったと思います。
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