77%は産後うつ予備軍!? 産前・産後ケアのプロが伝授するママの心の整え方

マドレボニータが教える 産前からできる心の準備  

沖田 沙羅

産後の心をいたわるために、知っておいて欲しいこと

産後に精神状態が乱れてしまうことは決して特別なことではありません。心身が健康ではないということをまず知っておいて欲しいんです。

「泣く赤ちゃんを可愛いと思えない私は悪い母親」と自分を責めたり、他人の言葉を必要以上に意識したり、孤独感を味わったり。こうした不安や寂しさを言葉で伝えたくても、一日中赤ちゃんのお世話で家にいて大人と話さない日々が続くと、言葉がうまく出てこなくなることもあり、どんどん悪循環になります。そして、産後の女性は体や心が辛かったとしても自分自身が気づけなかったり、それを言葉説明することすらできないので、「大丈夫!」と言ってしまうんです。

しかし、周囲はそれをまともに受け取ってはいけません。産後うつは、どんな人にも起きる可能性がある症状。だからこそ、出産前から産後を見据えた準備をし、産後は休むことや気分転換を周囲の人が促すなど家族や周囲の理解とサポートが必要です。
まずは「こうなる可能性がある」を共通認識に!

夫婦で出産前に「知って」、想定をし、「回避」する準備をしましょう。
「セルフケア」は贅沢なものではない

産後はどうしても子どもを優先してしまいますよね。でも、自分のケアも同じくらい優先していいんです! 自分の心身が快適な状態でなければ、人に愛情を注ぐことはできません。あなたにとってのセルフケアはどんなことですか? 体を動かすこと? 好きな音楽を聴くこと? 本を読むこと? すぐには思いつかなくても、授乳しながら、寝かしつけをしながら、私が満たされることってなんだろう? と想像を膨らませてみるだけでもOK!

そして同じくパートナーにとってのセルフケアはなんでしょう? 赤ちゃんのお世話で時間が制限される中、どうすれば夫婦でお互いが満たされる時間を共有できるかを考えてみてください。協力してその時間を作り出すことができると、たとえ短い時間でも心が満たされて、家族に優しさと感謝、そして思いやりの気持ちが湧いてくると思うんです。

セルフケアと聞くと贅沢なものと思うかもしれませんが、大切な家族に愛情を注ぐために必要なものだということをぜひ知っていてほしいです。
大事な家族が増えるからこそ、さらに愛情を注げるように。 

親となった自分たちのニーズも丁寧に満たしてあげましょう。

産後うつの解決方法は?

うつかもしれない、少しでもおかしいと思ったら早めに専門機関に相談しましょう。また一人で抱え込まず、周りに助けを求めてください。頼ることに苦手意識がある方もいるかもしれないですが、産後は委ねて感謝することを学ぶいい機会になります。それに周りは案外頼ってほしいと思っているかも!

そして、相談以外にも、産後うつの解決に必要な4つのアプローチがあります。
●産前の知識と準備 

●体の回復 

●コミュニケーションの充実
 
●仲間づくり
こうしたアプローチを含めた理想的な「産後ケア」の全体像を図にしたものが下の図になります。多様なケアの形を知っていれば、自分の状態に合ったケアを行うことができます。早期にケアしていれば、症状が重くなる前に回復できるケースもあります。すでに産後数年経った方も遅くはありません。ぜひ今からでも産後ケアに取り組んでみてくださいね。
「受けるケア」と「取り組むケア」で心身ともに健康な産後へ! 
「○○ちゃんのママ」ではなく「私」でいられる場を、家庭以外にも見つけてみてください。地域のつながりは、子育てにおいて大きな支えになります。是非近くの産前・産後に参加できるコミュニティを探してみてはいかがでしょうか。
コミュニティで出会った人と、10年以上の仲になることも。子どもの親だからではなく、自分が主体となり参加したコミュニティであるから続く関係です。『マドレボニータ』共同代表の山本裕子さん(左)と中桐昌子さん(右)

母の健やかな体と心をつくる「マドレボニータ」では、妊娠期間にできるマタニティケアや、産後ケア、産後のバランスボール教室など、心と体を一緒にケアできる様々なレッスンを全国各地の教室と、オンライン教室で行なっています。もちろん子連れもOK。気になる方はチェックしてみてくださいね。

ストレッチ編では産後すぐできる体型改善のセルフケアをご紹介! 入院中からできる産褥体操や、肩こり改善、腹筋を鍛える正しい座り方などを写真付きで解説します。
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おきた さら

沖田 沙羅

Sara Okita
ライター

1990年東京生まれ。講談社の幼児雑誌「おともだち」などから出版される書籍の編集・ライティングを担当。SNS用の広告や書籍のレイアウトデザインなども行う。イラスト制作や写真撮影が趣味。現在一児の母として育児に奮闘中。 Instagram

1990年東京生まれ。講談社の幼児雑誌「おともだち」などから出版される書籍の編集・ライティングを担当。SNS用の広告や書籍のレイアウトデザインなども行う。イラスト制作や写真撮影が趣味。現在一児の母として育児に奮闘中。 Instagram

やまもと ひろこ

山本 裕子

Yamamoto hiroko
認定NPO法人マドレボニータ 共同代表理事長

大学卒業後、ホテル勤務を経て結婚。'05年に第1子を出産し、産後の心身の辛さと社会からの孤立感を強く感じる。'10年認定インストラクターに。'13年には第2子を出産し、心身の健康と育児の本当の楽しさを実感。教室OGの母たちと「マドレボニータ東海TOMOS」を立ち上げ、東海地方での産後ケアの普及活動に注力。'20年12月、創始者吉岡マコの後を継ぎ共同代表理事に就任。岐阜市在住。現在、高1と小2の2児の母。Mr.Childrenの大ファン。 マドレボニータ

大学卒業後、ホテル勤務を経て結婚。'05年に第1子を出産し、産後の心身の辛さと社会からの孤立感を強く感じる。'10年認定インストラクターに。'13年には第2子を出産し、心身の健康と育児の本当の楽しさを実感。教室OGの母たちと「マドレボニータ東海TOMOS」を立ち上げ、東海地方での産後ケアの普及活動に注力。'20年12月、創始者吉岡マコの後を継ぎ共同代表理事に就任。岐阜市在住。現在、高1と小2の2児の母。Mr.Childrenの大ファン。 マドレボニータ