撮影/恩田亮一(講談社写真映像部)
そこで今回は、幼少期の言語習得を研究するCNRS(フランス国立科学研究センター)准教授であり、東京大学IRCN赤ちゃんラボの連携研究者でもある辻晶さんにお話を伺いました。
現在5歳の娘さんの母でもある辻さん。専門家としての知見と、一人の親としてのリアルな視点を交えながら、最新の発達科学に基づいた「読み聞かせの本当の効果」と、親子の時間をより豊かにする秘訣を教えていただきました。
読み聞かせは「上手さ」より「やり取り」。脳を育むジョイントアテンションとは?
辻 絵本の読み聞かせは子どもにとっていいことばかりです! 子どもに普段からたくさん話しかけているお家でも、話す内容は毎日のお風呂やご飯など、日常的につかう言葉の繰り返しになってしまいますよね。さまざまな絵本を読むことで、日常では出会えない新しい言葉と出会うことができます。
また読み聞かせは、言語習得や社会性の発達に重要な「ジョイントアテンション(共同注意)」を促すことができます。「ジョイントアテンション」とは、同じ対象を一緒に見つめながら、関心を共有し合う能力のこと。子どもと同じ絵本を眺めながら「おもしろいね」「かわいいね」などと会話するだけで、気軽にトレーニングすることができるのです。
──声掛けするだけでトレーニングになるのは親御さんも楽チンですね。他にも読み聞かせするうえで大切なことを教えてください!
辻 絵本を読むうえで大切なのは、上手に読むことではなく、子どもに注目してあげること。子どもが絵本を指差したり、声をあげたりして反応するのは、子どもが絵本を面白いと感じているサインです。絵本の最初から最後までをすべて読もうとしなくても大丈夫。同じページを何回も読んでも、お子さんが楽しんでいれば成長を促します。
とはいえ、大変なこともありますよね。よく聞くのは、同じ絵本を繰り返して読んでとお願いされ、親御さんが飽きてしまうという悩み。子どもは繰り返しやルーティンが大好きですが、じつは繰り返し行動をすることで、物事のパターンを認識し「次はこうなるはず」という予測の立て方を学んでいると言われています。
同じ絵本で飽きてしまった親御さんには、子どもにリードしてもらう読み聞かせに挑戦してみましょう。子どもが反応することに「よく気がついたね! どうしてわかったの?」などとリアクションを添えて質問してみたり、「この先、どうなるんだっけ?」と尋ねてみるのもアリです。ごっこ遊びができる年齢になったら、子どもが親や先生の役になって絵本を読んでもらうのも面白いですよ。
撮影/恩田亮一(講談社写真映像部)
辻 はい、もちろんです。親御さんが料理をつくりたいときや休みたいときなど、動画を活用するのは問題ないと思います。
ただ、時間が長くなりすぎないよう気をつけていただけるといいでしょう。映像を受動的に見ている時間は、体を動かしたり、自分で考えたり、人と関わったりする、より能動的な活動にあてられるはずの時間でもありますから。
学術的な視点でも、子どもがひとりで読み聞かせ動画を観ているだけでは、親御さんが読み聞かせするときと同じ効果があるとは言えません。なぜなら親御さんが読み聞かせすることで生まれる「インタラクション(やり取り)」が期待できないから。「インタラクション」は脳の発達や言語習得にとても重要なんです。
もし読み聞かせ動画で同じ効果を得たいなら、親子で一緒に動画を観て感想を共有するようにしましょう。親御さんに無理のない方法で「インタラクション」が起きるよう心がけてみてくださいね。








































