今までに僕が訪ねた妖怪にゆかりのある場所や妖怪スポットを紹介するこの企画も第5弾。ついに最終回です。ここまで書き続けられることができて、本当に嬉しく思っています。今回、読むのが初めてという方は、以前に書いた記事も読んでいただけたらと思います。
過去の妖怪探訪の記事はコチラ!
第1回 座敷わらしで有名な旅館・緑風荘(りょくふうそう)
第2回 カッパで有名な岩手県 カッパ淵
第3回 新潟県の天然記念物 婆々杉(ばばすぎ)
第4回 福島県 沼御前(ぬまごぜん)
今回登場する妖怪(?)の名前は「殺生石」。聞いたことある方も多いのではないかと思います。もっとも有名なのは、中国やインドで悪事を働いた、大妖怪、九尾(きゅうび)の狐の殺生石。その名の通り、九本の尾をもつ狐の妖怪です。平安時代に日本にも上陸し、日本を混乱におとしいれようと計画を立てましたが、陰陽師によって正体がばれてしまい、現在の栃木県那須町(とちぎけんなすまち)あたりで退治されました。ですが狐はその身を石に変化させ、毒を吐いて植物や動物の命を奪い続けたといいます。
玄翁(げんのう)という和尚様がこれを打ち砕くことに成功しましたが、そのかけらは日本全国へと飛び散ったそうです。これが九尾の狐の殺生石です。
また、石が毒を発してさっきまで元気に飛んでいた鳥が突然死んでしまったりしたため、生き物への威力を持つものをまとめて殺生石とよんだそうです。
「伊佐須美神社」
地元では大きく有名な神社です。僕も小さい頃によく遊びに来ていました。お店が並んでいたり、鯉が泳いでいたり、のんびりするのにぴったりなとても素敵な場所です。
そしてその近くには「殺生石稲荷神社」という伊佐須美神社の末社があり、そこには殺生石が祀られているとのことでした。
先日、家族全員で殺生石稲荷神社にお参りに行ってきました。本殿の横にある柵の中を見ると、注連縄がかけられたかなり大きな石…というより岩?が大小二つ置かれていました。これが殺生石でしょうか…。
そして、神社の横には、「殺生石稲荷神社の由来」と書かれている白い看板があり、この神社の由来について詳しく書かれていました。
それによると、昔このあたりでは、宮川が氾濫したり落雷や火災が起きたりと、災難が相次いでおり、これは殺生石の祟りだと恐れられ、その霊を祀ったのが由来なのだそうです。
まず、僕が一番気になっていたことから質問します。
「殺生石稲荷神社に置かれていた殺生石は、九尾の狐の殺生石なのでしょうか?」
似た話の別の石なのではないか…とも思っていたので、これはぜひ聞いてみたいことでした。
宮司さん曰く「江戸時代、宮川の河川が大きく荒れたことがありました。そして、これはもしかするとあの殺生石のせいなのではと考え、神(もしくは霊)として祀ったのではないかと思います。そこに、後々伝わった栃木県の殺生石の伝説が混ざったのではないでしょうか。」とのことです。
なるほど。この殺生石には2つの伝承があり、その話が合わさった形で現在も言い伝えられているようです。看板に書かれているように、那須の湯本(ゆもと)温泉神社近くの殺生石ではあるようですが、九尾の狐の殺生石だと断言できる書物などは見つかりませんでした。引き続き、調べていきたい案件です。
昔から、人間の手には負えないものを神としてあがめ、信仰するのはよくあることです。宮川の氾濫が殺生石のせいと考え、それを「神」として手を合わせることで、自らの気持ちも休まったのではないか、と思います。
そして、宮司さんからびっくり情報です。
「それから…神社の横に置かれている大きな石、あれはモニュメントです。本物は下に埋まっているそうですよ。」
ええー!!!そうなんですか!?てっきり置かれている大きな石は本物だと思っていました…!これにはびっくりです(笑)。
やはり、直接お話を聞いてみて良かったです!あの大きな石がどうやって飛んできたんだろうと思っていましたが、実際に飛んできたと言われているのはもっと小さい石だったそうです。いつか、埋まっている本物の殺生石を見てみたいと思いました。少し…いや、かなり怖いですが…。
やはり妖怪探訪には人とのコミュニケーションが大切だと思いました。宮司さん、お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
今回は僕の地元のスポットを紹介しました。皆さん、いかがでしたか?
コロナウイルスで今はなかなか遠出ができませんが、いつか栃木県にある殺生石も見てみたいなと思っています。また、砕かれた際に各地に飛んで行った他の殺生石の場所にも行ってみたいです!
このシリーズはいったん、終わりです。
僕が訪ねた場所以外にも、妖怪の伝説が残り、語り継がれている場所は日本中にたくさんあります。皆さんの地元にもきっとあるはずです。ぜひ、お出かけになってみてください。きっと、自分の地元にもっと興味がわいたり、愛着を感じたりするはずです。
僕は妖怪が好きなので、日本各地の妖怪探訪に出かけるのが夢であり、目標です。
いつか、遠出ができるような世の中になったら、たくさんの場所を訪ねて、今より妖怪に詳しくなったら、またこのシリーズを書かせていただきたいです!
最後の最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
妖怪探究家 関本創
関本 創
2008年7月21日、福島県生まれ。NHK Eテレ「沼にはまってきいてみた」やテレビ朝日の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に取り上げられた小学生の妖怪博士。小学4年生で特許を取得。 小学5年生で起業し取締役社長を務める。2020年、アマビエキーホルダーを制作、販売。その売り上げのほとんどでマスクを購入し地元医師会や保健所に4000枚寄付。 12歳で自費出版本は5冊を数える。
2008年7月21日、福島県生まれ。NHK Eテレ「沼にはまってきいてみた」やテレビ朝日の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に取り上げられた小学生の妖怪博士。小学4年生で特許を取得。 小学5年生で起業し取締役社長を務める。2020年、アマビエキーホルダーを制作、販売。その売り上げのほとんどでマスクを購入し地元医師会や保健所に4000枚寄付。 12歳で自費出版本は5冊を数える。