2021.04.05

一本の杉が語りかける伝説のリアルさとは!?

関本創の妖怪探訪シリーズ 第3回 新潟県の天然記念物 婆々杉(ばばすぎ)

著者:関本 創

2020年11月に『小学5年生がかいた ざんねん いがい ゆかいな妖怪事典』(講談社刊)を出版した妖怪博士の関本創(せきもとあらた)くん。彼がこれまで訪れた妖怪ゆかりの地で感じたことや体験談を文章と写真で紹介してくれます。第3回は新潟県にある天然記念物の婆々杉です。一本の杉が語るロマンとは?

こんにちは。妖怪探究家、関本創です。
僕が訪れた日本全国の妖怪スポットを紹介するこの企画も第三回。読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。今回初めての方々も、ありがとうございます。

前回までは岩手県の妖怪スポットのご紹介でした。今回は少し離れて新潟県です。天然記念物にも指定されている「婆々杉(ばばすぎ)」をご紹介したいと思います! 最後まで読んでくださったら嬉しいです!

今回登場する妖怪の名前は「弥三郎婆(やさぶろうばば)」。
僕も最近になってその名を知りました。新潟県各地や、福島県、山形県の一部地域に伝承が残っている、山姥(やまんば)に似た特徴を持つ老婆です。人を食らうこともあれば、心の優しい若者には富をもたらすこともあるともいわれています。

さまざまな言い伝えや噂がありますが、多くの場合、最終的には弥彦(やひこ)神社のある弥彦山、婆々杉にたどり着きます。そして、そこで典海大僧正(てんかいだいそうじょう)に説得され、罪を悔いながら神になった、といわれています。いろいろな妖怪の特徴を一つにまとめたような、そんな存在なのです。

兄弟仲よく写真撮影!

婆々杉には、弥三郎婆に関わる伝説が二つあります。

一つは、悪いことをした人が死んだときに弥三郎婆が死体を杉の枝に引っ掛けてさらし者にしたというもの。

もう一つは、この杉の根本で大僧正にお説教され、改心し神になったという伝承です。

そんな伝説が残る天然記念物、婆々杉を一目見てみたい! 弥彦神社にお参りにも行きたい! わくわくする気持ちで出かけました。

弥彦神社でしっかりとお参りし、御朱印もいただき……さて、いよいよ本命の婆々杉へ!……と思ったのですが、どこにあるのか……さっぱり分からなかったので(方向音痴)神社の方に教えていただきました。

弥彦の地図をいただき、婆々杉は弥彦山のふもとにあることが判明しました。車で移動し駐車場からは徒歩で父と一緒に婆々杉に向かいます。

道の途中、地元の人らしき方、数人と出会い「婆々杉に行く道はこの道であっていますか?」と質問したところ、驚いた顔で「あんたら……婆々杉んとこ行くのかい!?」との返答が……。

え? そんな地元の人のお墨付きの危ない道なのだろうか?もしくは、よそ者が行ってはいけない場所なのだろうか? と、不安になりながら再び道を進みます。民家が並ぶ普通の田舎道です。その先にあった石段を上ると、そこからは山道です! 弥彦神社を出発する前、急に降りだした大雨のせいで、道が悪く…歩くたびに靴に泥がついたり小石が入ってかなりの気持ち悪さです。

ミステリアスな雰囲気いっぱいの山道

それでも婆々杉を見たくて山道を登ります。周りの木が高く、雨雲でほとんど光が入ってきません。暗い道を歩くのでどんどん森の中へ入っていくようで、僕にはとても長い道のりに感じました。

本当にこの先に婆々杉があるのだろうか……? さっき出会った地元の人たちの「あんたら正気か!?」という顔が目に浮かびます。それでも歩くと、広場のような場所に到着しました。そして……そこにそびえたつ一本の巨大な婆々杉が!

柵がめぐらしてあり、注連縄が(しめなわ)巻き付けられている婆々杉は周りの木と比べて太さは4~5倍くらいあり、見上げてもその先が見えないほどに高かったです。これほど大きい木は見たことがありません。そして周りの木も高いこと! 物凄く迫力があり同時に神秘的、という素晴らしい場所です。

この場所で与三郎婆は神になったのか……
しばらく、呆然と婆々杉を見つめて過ごしました。

近くにはいくつか石碑があり文字が刻まれていましたが、暗かったこともあり、解読はできませんでした。残念……。フラッシュをたいて撮影してみましたが、光が反射してやはりよく読めませんでした。無念です……。

あの石碑に何が書いてあるのか、ご存じの方がいらしたら教えてください。

何年間もずっとあの場所にそびえたっている婆々杉に弥三郎婆のことを聞いてみたいです。あの場所でどんなことが起きていたのかな……。

本で読んでいるのとは違って、実際にその場所を訪れると物語を感じます。妖怪や妖怪にゆかりあるものに直接インタビューできたら、どんなに楽しいだろうなと思います。

雨に濡れた杉の神々しさに圧倒されます

この大きさ、わかってもらえるでしょうか?

今回の婆々杉のお話はいかがだったでしょうか。

僕が出かけた時は雨だったので道が悪かったですが、その圧倒的な存在感と神秘的な雰囲気にとても感動しました。素晴らしい迫力で異空間のような光景に衝撃を受け、また癒されます。神々しいので少し怖く感じる方もいるかもしれません。もし機会があったらぜひ行ってみてください。とても素晴らしいところです。

僕も今度は天気のいいときに婆々杉に行きたいです。きっと違った婆々杉に会えると思います。

今回は以上になります。最後まで読んでくださりありがとうございます。まだこの企画は続きます。次回は福島県の沼御前(ぬまごぜん)です。楽しみにしてくださると嬉しいです。興味がある方は、第一弾の緑風荘第二弾カッパ淵もお読みください。ご感想も、お待ちしています。

次回は福島県の沼御前です。お楽しみに!!



著者紹介

関本 創 せきもとあらた

関本創(せきもとあらた)
プロフィール 
2008年7月21日、福島県生まれ。NHK Eテレ「沼にはまってきいてみた」やテレビ朝日の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に取り上げられた小学生の妖怪博士。小学4年生で特許を取得。小学5年生で起業し取締役社長を務める。2020年、アマビエキーホルダーを制作、販売。その売り上げのほとんどでマスクを購入し地元医師会や保健所に4000枚寄付。12歳で自費出版本は5冊を数える。