【第９回】この夏だけの特別企画！　「黒魔女チョコの　魔界で!?修行日記」スペシャル連載

「ギューギューの森」

2025.08.06

でも、ギュービッドは、すぐにあたしをふりかえった。

「それはともかく、チョコ。サバトが行われる森を見学に行くぞ」

「ぼくも行く！」

「だめぇ！　これは、チョコの黒魔女修行の一部なんだから！」

ぴしゃりといわれて、ギュータくん、しょんぼり。

なんだか、かわいそう。でも、ギュービッドは平気な顔。あたしをお屋敷の外に連れだすと、ぎゅっと手をにぎってきた。

「ルキウゲ・ルキウゲ・ムオベーレ！」

あ、また、瞬間移動魔法。

そう気づいたときには、うっそうとした森に立っていた。

「ここはギューギューの森だ」

ギューギュー？

「どの森にも魔力が満ちているけれど、この森には、とりわけ魔力がぎゅうぎゅうにつまってるんだよ」

がくっ。だからギューギューの森って、ただのオヤジギャグ……。

「うちの一族の名前にギューがつくのも、先祖がここに住んでいたかららしい。あたしみたいなスーパー優秀な黒魔女が生まれたことで、この森もますます有名になるだろうな」

さすがは魔界。ダジャレと自慢のオンパレードです。

「だけど、ギュービッドさま。どうしてここに住むのをやめたの？」

「くわしいことは、あたしもしらないんだけど、なんでも……。ん？」

ギュービッドが、するどい目つきでうしろをふりかえった。

木の枝にカラスが一羽、とまっていた。そこへまた一羽、さらにまた一羽。枝の上にならぶと、黄色い目で、こっちを見おろしている。

なんなの？　急にあやしいふんいきになってきたんですけど。