白ごはんがもっと好きになる! 新米の季節におすすめのお米の絵本3冊[子どもの本専門書店・店長が厳選]

子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #5~お米の絵本~ (3/4) 1ページ目に戻る

ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀

おにぎりにんじゃの痛快な忍法が炸裂!

次にご紹介するのは、私も大好きな絵本作家のひとり・北村裕花さんの『おにぎりにんじゃ』(講談社)。

子どもの本の専門店に勤めていると、お客様からいろいろな問い合わせがあるのですが、中でも多いジャンルのひとつが「忍者の絵本」。見たことはないけれど、強くて何でもできる忍者は、子どもにとって憧れの対象なのかもしれませんね。

しかも、この絵本の主人公は、ただの忍者ではなく、のりの衣に身を包んだ“おにぎりにんじゃ”。子どもの大好きなもの2つをカップリングさせた、テーマからして最高の一冊です。

『おにぎりにんじゃ』(作:北村裕花/講談社)
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ある日、のりまきじろに呼び出されたおにぎりにんじゃ。どんぶりじろのどんぶりたちに盗まれた大切な巻物を取り返すように命じられます。さっそくどんぶりじろへと向かったおにぎりにんじゃは、得意の忍法を使ってお城の中へと忍び込むのです。

「にんぽう ごましおにぎりの じゅつ!」
「にんぽう つくだにこんぶの じゅつ!」
「にんぽう うめぼししゅりけん、つたたたたー」

おにぎりの具や特性を生かしたさまざまな忍法を繰り出しながら、ユーモアたっぷりのお話が展開されます。誰も傷付かず、悪者のどんぶりたちを懲らしめることもない、北村さんらしいあたたかなエンディングも素敵です。

そして、お話のおもしろさを引き立てているのが、素晴らしい絵。オレンジ色の線が効果的に使われていて、不思議な透明感や奥行きが生まれ、どこか懐かしさも感じさせます。ぜひ細部まで、じっくりと楽しんでいただきたいです。

ちなみに、海外からいらしたお客様にこの絵本を紹介すると、「にんじゃ」と「おにぎり」の最強タッグで、即ご購入された方もいらっしゃいました。日本のおみやげとしても絵本が喜ばれているなんて、私まで嬉しくなります。

次はごはんのありがたみが増す米農家の絵本

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