白ごはんがもっと好きになる! 新米の季節におすすめのお米の絵本3冊[子どもの本専門書店・店長が厳選]

子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #5~お米の絵本~ (4/4) 1ページ目に戻る

ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀

豊かな農村の暮らしを疑似体験できる

最後にご紹介するのは、お米の絵本の中でも特にお気に入りの一冊『のうふののふさん』(新日本出版社)です。

写真絵本や図鑑など、お米づくりを掘り下げた本はほかにもありますが、この絵本はお米をつくる農家の人々の暮らしまでクローズアップされています。

『のうふののふさん』(作:室井さと子/新日本出版社)
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主人公は、米農家の「のふさん」。たねモミをまき、田植えをして、稲を育て、収穫する──。のふさんが厳しい自然と向き合いながら、お米をつくる1年のようすを丁寧に描いています。

お米は家族だけではなく、近所の農家や木こりの「きこさん」など、まわりの人々と協力しながら作られるのですね。やぎや猫、にわとりといった動物たちも、お米づくりに欠かせない存在のようです。

そして、収穫が終わると、みんなで集まってお祝いします。いつもお米を買ってくれるせんべい屋さん、パン屋さんなどもやってきて、お子さんは「お米からおせんべいができるんだ」「パンも作れるんだ」などと、気づくかもしれませんね。

そうしたお米を取り巻く人々の営みから、昔ながらの豊かな農村の文化を感じ取れるのではないでしょうか。

この絵本のモデルとなっているのは、実際にお米づくりをされている作者・室井さと子さんのお母様と義理の妹さん。

日々いろいろなことが起こりながらも、淡々と仕事を進めているように見える、そんな地に足のついた営みの連続が胸にしみます。農家の方々へのリスペクトとあたたかな想いがあちこちにあふれた絵本です。

日々の暮らしの中で、田植えや米づくりに想いを馳せる機会はなかなかないと思います。絵本を通して、親子で農村の暮らしを疑似体験する。お米やお米づくりに興味を持つきっかけをプレゼントできる一冊としておすすめです。


取材・文/星野早百合

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ちの ゆき

茅野 由紀

Yuki Chino
ブックハウスカフェ店長

1万冊を超える絵本を取り揃えた、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」(東京・神保町)店長。2005年から絵本の世界に携わり、20年。新聞などのメディアで書評やコラムを連載するほか、教育機関で講師も務める。2児の母。 ●ブックハウスカフェ 

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1万冊を超える絵本を取り揃えた、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」(東京・神保町)店長。2005年から絵本の世界に携わり、20年。新聞などのメディアで書評やコラムを連載するほか、教育機関で講師も務める。2児の母。 ●ブックハウスカフェ 

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。