
【K2シロップの投与】子育て誤情報「K2シロップは添加物だらけで危険」はウソ! 新生児・乳児への安全性と重要性〔医師が解説〕
令和の「子どもホームケア」#7~ビタミンK2シロップの投与~
2025.05.24
小児科専門医:森戸 やすみ
不安になるのは「よく知らないから」
ビタミンK2(ケイツー)シロップ、いわゆるK2シロップ。今年(2025年)2月、SNSで「K2シロップは危険だ」とするポストが投稿され、話題になりました。
小児科医・森戸やすみ先生によると、SNSではK2シロップの危険をあおる投稿が不定期的に繰り返されているといいます。
なぜ、こうした情報が拡散されるのでしょうか。K2シロップの安全性と重要性について、森戸先生に伺います。
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ビタミンK2シロップとは、赤ちゃんの出血を防いでくれるビタミンKを含んだシロップ剤です。日本では赤ちゃんの口から摂取させますが、アメリカなど海外では生まれてすぐにビタミンKを注射する国も多くあります。方法は違えど、ビタミンKは赤ちゃんを守るために世界中の国々で投与されているものです。
安全性が認められていて、赤ちゃんにとって必要なものなのに「K2シロップは危険だ」という誤情報を鵜吞(うの)みにしてしまうのは、おそらく「よく知らないから」ではないでしょうか。「みんなに伝えなきゃ」といった、善意や正義感から拡散している方がほとんどだと思います。
また、K2シロップに限らず「危険だ」と不安をあおる情報は広まりやすい一方、「安全だ」「危険というのはデマだった」という情報はあまり広まりません。そのため、一度「危険だ」と信じてしまった人には、正しい情報が届きにくくなります。
では、実際に拒否する親御さんが大勢いるのかというと、そんなことはありません。私は大学病院やNICU、産婦人科病院の小児科部門に勤務していた時期がありますが、K2シロップを拒否された親御さんはいませんでした。拒否する親御さんがいたという話も聞いたことがありません。
助産師さんたちによるていねいな説明もあったのでしょうが、ほぼ100%の親御さんが、赤ちゃんにK2シロップを飲ませていました。SNSでK2シロップを問題視する人はごくごく少数なので、そういった意見で不安になる必要はないでしょう。