都会育ちの親子が移住体験へ! 限界集落で気づいた子育ての「豊かさ」

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「帰省」が「体験移住」になった日

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全国各地の自治体で実施されている「移住体験制度」は、実際にその地域に滞在しながら暮らしを体験できるプログラムです。内容や条件は自治体によって異なり、宿泊費の補助が出るケース、交通費の一部が支給されるケース、子どもの一時保育が体験できるケースなどさまざまあります。移住を前提とせず、「まず暮らしを知ってみたい」という人でも申し込めるところが多いのが特徴です(詳細は各自治体のホームページをご確認ください)。

わが家の場合は、将来の暮らしを考える機会として、帰省予定に合わせて半年前に申し込みました。申請の手続き自体はオンラインのみで完結。交通費の一部補助を受けられたほか、地元の小規模保育園で3日間の保育体験ができ、さらに指定宿泊先に1泊6,000円で滞在することができました。

移住を今すぐ検討しているわけではありませんでしたが、夫の実家がある地域ということもあり、老後や将来のこととして頭の片隅に「いつかはここに戻ることになるのかな」という気持ちは漠然とありました。そんな思いを抱えつつ申し込んだ今回の体験が、まさか3日間で子育て観まで揺らぐほどのものになるとは、このときはまだ思っていませんでした。

田舎の保育園 一日体験してみたら

【体験前】都会の園でのわが子

息子は、普段は都内の認可保育園に通っています。園児の数は30人超のクラスで、担任の先生1人と、日替わりで交代する補助の先生が数人という体制で、先生方はいつも忙しそうです。

息子はどちらかというとマイペースで、集団遊びにも加わりますが、特定の子と仲よくするのを好み、ひとりで黙々と何かをするのが好きなタイプ。大人数の中では周りに合わせようとする場面も多く、家では見せる伸び伸びとした姿が、園ではどこか遠慮しているように見えました。それを私はずっと「この子の個性」だと思っていました。

ただの帰省や、都会では中々できないマスカット狩りまでさせてもらいました。

【体験中】10人の園で起きたこと

体験保育を受け入れてくれた保育園は、全園児数が10人にも満たない小規模な園でした。調理師や、園長先生も入れたらマンツーマンなのではというくらい、大人と子どもの距離感や関わり方はいつもの園とはまったく違います。

給食に使う野菜を届けてくれる農家さんや、ほかの園児の保護者が、保育のお手伝い役として自由に園に出入りしていることにも驚きました。息子は最初の30分こそ硬い表情で私の手をぎゅっと握っていましたが、気づいたら先生の膝の上に乗っていました。そして3日目の夕方、迎えに行くと、にこにこと聞いてくれる大人たちの輪の中心で何かを一生懸命しゃべっている息子がいました。

園長先生が「○○くん、もう3年くらいいるみたいね」と声をかけてくださり、その場になじんでいる息子の姿を見て、私は少し泣きそうになりました。

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義母も嫉妬してしまうほど、すぐに息子が懐いた保育士さん。

【親の気づき】「個」として愛されるということ

都会の保育環境が悪いわけではありません。それでもふと思いました。一人ひとりの個性をよく見て、その子のペースを大切にしてくれる環境だからこそ、息子もすぐになじめたのかもしれません。息子が安心して自分らしくいられるためには、たくさんの人の中で刺激を受ける環境もよいけれど、少人数の中でじっくり見てもらえる場所も、この子には合っているのかもしれない。そう感じました。

地域の大人たちは、息子を「子ども」とひとくくりにせず、ひとりの個人として知ろうとしてくれました。名前もすぐに覚えてくれて、翌朝には「○○くん! 今日もかっこいいね」と明るく声をかけてくれました。評価されるわけでも、管理されるわけでもなく、ただ「いてくれるだけで嬉しい」という目線で接してくれる大人の存在。それが、息子に安心感を与えてくれたのだと思います。

自己肯定感、という言葉をよく聞きます。しかし、それが育まれる瞬間を目の前で見て、はじめてその意味が腑に落ちた気がしました。

身近に感じる生き物たちの息づかい
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