不登校は学校制度の崩壊が原因 「夏休み明けの悲劇」を防ぐため不調な子どもは休ませて

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#1‐3 不登校新聞代表理事・石井しこう氏~不登校最前線2023~

不登校新聞代表理事:石井 しこう

『不登校新聞』編集部の入り口。本の横にあるPOP(ポップ)には「君らが想像できる世界なんてすぐ覆(くつがえ)るよ」というリリー・フランキー氏からのメッセージが。  写真:日下部真紀
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不登校だからって「学校」に行きたくないわけじゃない

不登校がこれだけ増えて、元の学校に無理に戻そうとするのはマイナスでしかないという認識が広まってきた今、大きな問題は「別の道」が十分に用意されていないことです。

フリースクールは、増えているとはいえまだまだ少ない。お金もかかるので、物理的にも経済的にも誰もが通えるわけではありません。行くところがなくて、結果的に家に引きこもってしまうケースも多い。

苦しい思いをしている彼ら彼女らにいちばん必要なのは、学校でも家でもない第三の居場所です。祖父母が逃げ場所になっているケースもよくあります。

不登校の子どもたちの多くは、けっして人嫌いなわけでも独りが好きなわけではありません。8割以上の子は通信制高校に通います。

高校に行っておかないと将来が不安だからというのもありますが、いちばんの理由は「青春したい」から。部活がやりたい、友達とマック(マクドナルド)に行きたい、恋バナで盛り上がりたい。そういうことがしたいんですよね。

学校の良さはたくさんあるんです。学校自体がその良さにあまり気づいていない。子どもを管理するとか学力で輪切りにするとか、悪い部分ばかりに力を入れている。通信制高校の場合は、カリキュラムの自由が認められやすいこともあって、学校という場所の良さを生かした高校がたくさん出てきています。

不登校の増加は、学校はこのままじゃいけないという明確なサインです。警告と言ってもいい。学校も世の中も、そして私たちひとりひとりも、もっと真摯に受け止めて、これからの学校制度やこれからの社会をどうしていくかを考える必要があるんじゃないでしょうか。

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次回は子どもが不登校になったとき、親の見守り方を伺います。

構成/石原壮一郎

フリースクールとはどんな場所か、選ぶ基準等々、不登校経験者でもあり、数々の不登校児童やその家族を取材してきた不登校新聞代表理事・石井しこう氏が詳しく解説『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。
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いしいしこう

石井 しこう

Shikou Ishii
不登校ジャーナリスト

1982年東京生まれ。不登校ジャーナリスト。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校に。同年、フリースクールへ入会。 19歳からはNPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材を行なうほか、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者にも不登校をテーマに取材を重ねてきた。 現在はNPOを退社し不登校ジャーナリストとして講演や取材、「不登校生動画甲子園」の開催などイベント運営などでも活動中。【Yahoo!ニュース 個人】月間MVAを二度受賞。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社) 【公式サイト】https://futokoshiko.com

1982年東京生まれ。不登校ジャーナリスト。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校に。同年、フリースクールへ入会。 19歳からはNPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材を行なうほか、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者にも不登校をテーマに取材を重ねてきた。 現在はNPOを退社し不登校ジャーナリストとして講演や取材、「不登校生動画甲子園」の開催などイベント運営などでも活動中。【Yahoo!ニュース 個人】月間MVAを二度受賞。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社) 【公式サイト】https://futokoshiko.com

いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか