
【中学受験】の暗記には「思い出す勉強法」 何度読んでも忘れる子どもに最適
理論物理学教授・波場直之先生の「科学的に考える中学受験」#1 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.10.16
大阪公立大学教授:波場 直之
【勉強法】「読むだけ」より「思い出す」ほうが記憶に定着する理由
受験勉強では、教科書や参考書を何度も読み返したり、大事なところにマーカーを引いたりする人が多いと思います。
もちろん、それ自体が無意味なわけではありません。ただ、長期的に記憶を残すという点では、「もう一度読む」より「何も見ずに思い出す」ほうが効果的だと示す研究があります。
心理学者のヘンリー・ローディガーとジェフリー・カーピキーは、学生に文章を読ませた後、「もう一度読み直す」条件と、「何も見ずに内容を思い出す」条件を比べました。
学習直後のテストでは、読み直した側の成績がよい場合があります。ところが2日後や1週間後にテストすると結果が逆転し、思い出す練習をした側のほうが内容をよく覚えていました。
その背景の一つとして考えられるのが、「わかったつもり」です。
何度も読むと、文章に見覚えが出て、すらすら読めるようになります。すると「わかった」「覚えた」と感じやすくなります。でも、すらすら読めることと、自力で答えを取り出せることは別です。
入試本番で必要なのは、教科書を見て「ああ、これ知っている」と思う力ではありません。何も見ずに、必要な知識を引き出す力です。だからこそ、普段から「思い出す」練習、心理学でいう「リトリーバル(想起)」をしておくことが大切です。
わかったつもりを防ぐ! 脳に負荷をかける「思い出す勉強」の効果
教科書を眺めているだけなら、情報は目の前をすらすら通っていきます。負荷が少ないので、勉強した気にもなりやすい。一方で、本を閉じて「何が書いてあった?」と思い出そうとすると、頭に負荷がかかります。
この「思い出そうとして悩む時間」には意味があります。思い出すのに苦労したうえで正しく思い出せたときのほうが、あとまで記憶に残りやすいことが、心理学の研究で報告されています。
記憶に残すには、ただ情報をインプットするだけでなく、自分の頭から取り出すアウトプットも効果的です。
「思い出せない」という感覚も失敗ではありません。むしろ、どこを覚えていないのかがわかるので、次に復習すべき場所がはっきりします。






























