
2026年中学入試ふりかえり 国語物語文出題作品と傾向を紹介〔中学受験専門塾講師が解説〕
大手進学塾の現役教室長akira先生が解説 ~2026年入試の国語出典トレンド最前線~ (2/3) 1ページ目に戻る
2026.06.24
大手進学塾 現役教室長:akira
『オリオンは静かに詠う』
『オリオンは静かに詠う』が、2026年入試の最多出題作品です。渋谷教育学園渋谷、栄東、鷗友学園女子など9校で出題されました。
テーマは、「手話×競技かるた」。音のない世界で真剣勝負に挑む高校生たちの姿が描かれています。
設定の珍しさだけでなく、「相手に伝えるとはどういうことか」「見えない気持ちをどう理解するか」という深いテーマも魅力。多様性やコミュニケーションをテーマにした近年の潮流と、ぴったり重なる作品でした。会話文も自然で読みやすく、感情の揺れも丁寧。「なぜこの行動をしたのか」を考えさせる問題が非常に作りやすい作品です。
私の教室でも紹介していましたが、実際に読んでいた生徒はかなり有利だったかもしれません。
『TRUE Colors 境界線の上で』所収「親友のカレ」
『TRUE Colors 境界線の上で』に収録されている「親友のカレ」は、海城中で出題されました。
この作品が収録されているアンソロジー全体のテーマは、ジェンダー・性の多様性・「普通」とは何か。「親友のカレ」も、単なる友情のすれ違いではありません。親友の恋愛や性的指向を知った主人公が、自分の中にある思い込みや価値観と向き合っていく物語です。「知らなかった」「どうすればよかったのか」その戸惑いが、とても誠実に描かれています。
近い存在だからこそ、簡単には言葉にできない。思春期特有のその距離感が、リアルに伝わってきます。いとうみくさんは、子どもの「言えない気持ち」を書かせたら右に出る者がいない作家。この作品もその真骨頂です。
最近の入試では、「正解がひとつではないテーマを、自分の言葉で考えさせる問題」が増えています。この作品は、そのど真ん中にある一冊。会話文中心で読みやすい一方、感情はかなり繊細。だからこそ、入試問題との相性がとても良かったのだと思います。




































